「いつも参考にさせてもらっています。間取りの中でリビングを畳リビングにするかフローリングのリビングにするか迷っていて畳リビングに魅力を感じているのですが、周りに畳リビングにした家が無くて失敗したらどうしようと思い踏ん切りがつかない状態です。畳リビングについて記事にしてもらえるとうれしいです」
このようなリクエストを読者の方からいただきました。
最近の家では床はフローリングにしてソファやテーブルを置いて生活をするというのが当たり前になりましたが、畳を使った部屋というのも根強い人気があります。
そして今回の相談内容は畳をリビングに使った「畳リビング」について。
今回はそんな畳リビングの魅力と畳リビングにする時のポイントについて詳しく見ていきたいと思います。
畳や和室が好きな方はぜひご覧ください。
畳リビングの魅力って何?
ひと昔前の家の間取りでは、台所と食事をする場所が同じ、そして居間(リビング)は別の場所にあるという家も多くあり、食事はテーブルでするけども和室をリビングに使っているという家もよく見かけました。
一方、今ではLDKという形で料理、食事、くつろぐというのが1つの空間にまとめられるケースが増え、それに合わせて部屋全体に統一感が出るように全てフローリングにまとめられた家がほとんどとなっています。
そんな中で、畳を使う場合はリビングの横に和室を作るか畳コーナーを作るというケースが多くなりましたが、リビングを畳敷きにした「畳リビングにしたい」という要望も根強くあります。
では、そんな畳リビングにはどんな魅力があるのでしょうか?
畳リビングの最大の魅力は何と言っても床を自由に使えて長時間床に座っていても疲れないという点です。
たとえば家族や友達がリビングに集まって話をしたり一緒にお酒を飲む場合、ソファだとどうなるでしょうか?
ソファでは座れる人数に限界があるので、何人かは床に座ることになりますよね。
でも、周りの人が床に座っている中でソファに座っていると目線の高さが違ってくるので、いつの間にか皆んな床に座っているなんてことも。
そうなると気になってくるのが床の硬さです。
同じフローリングでも無垢材のフローリング、特にスギやパインなどは柔らかく座りやすい素材となりますが、一般的なフローリングは硬く床に長時間座るのにあまり向いていない素材となります。
そのため長時間床に座る場合はクッションなどが必要になってくるんですね。
一方、そんな時も畳リビングであればクッション性があるので床に長時間座っても疲れることは少ないですし、何より床に座ってテーブルを囲むと言うのは結構楽しい物です。
日本人にとって床に座るというのは昔から身体に馴染んだ生活スタイルでもあり、床が落ち着くと言う方も多いのではないでしょうか。
また、畳だと床に座るだけで無くゴロゴロころがる、遊ぶ、ちょっと昼寝をするなど自由度の高さも魅力の1つです。
フローリングだとソファ中心の生活となりますが、畳にすることで使い方というのはより広がるんですね。
このようにリビングを畳にすることでソファ以外にも沢山居場所を作ることができ、家族が集まるリビングにすることができます。
畳リビングを作るポイント
それでは次に、実際に畳リビングを作る時のポイントについて見てみましょう。
畳リビングにするということは床での生活が増えるということになるので、普通のリビングとはまた違うリビングになるという点を頭に入れて置くことでより快適な空間にすることができます。
畳リビングにソファもOK
畳リビングにする場合に迷うのがソファを置くかどうかという点です。
畳なのでソファを置かなくても全く問題ありませんが、あえてソファを置くというのももちろんOK。
普通のリビングだとソファがメインの場所になるので誰か座っていたら居場所がかなり減った感じになってしまいますが、畳リビングでは床の畳が主役でソファは脇役となるので気が向いた時に座ったりソファでゴロゴロしてデイベッドのように使ったりと、普通のリビングよりもより自由に使うことができます。
床が畳なのでソファ以外にも居場所が沢山あり、たとえソファが埋まっていても選択肢が色々あるからなんですね。
また畳リビングにソファを置く場合、ソファはできるだけ高さを抑えた物を選ぶのもポイントの1つです。
床で生活しても圧迫感が少ないようにすることで落ち着いた空間にすることができるんですね。
その他、畳リビングの周りに作り付けのソファやベンチを作ってより居心地の良い場所をたくさん設けるのも楽しいですよ。
部屋全体の重心は低くする
先ほど畳リビングにする場合はソファの高さをできるだけ抑えた物にするのがポイントとお伝えしましたが、同じように畳リビングにする時はリビングだけ少し床を上げるというのも効果的です。
床を上げることでダイニングテーブルに座っている人との視線の高さの違いが少なくなり、より自然な空間にすることができるんですね。
Photo:https://vegablog.exblog.jp/17855396/
これはリビングとダイニングが近ければ近いほど効果を発揮します。
反対にダイニングとリビングが離れている場合は畳リビングだけ1段下げるという方法もあります。
段差が背もたれになったり窓枠がベンチになったりと、居心地の良い場所を作るのに一役買ってくれるんからなんですね。
→ピットリビングって使いやすい?後悔しないピットリビングの作り方
畳は縁(フチ)無しを選ぶ
畳リビングにする場合はどんな畳を使うかでも印象は変わってきます。
そして畳リビングにする場合にオススメなのが縁無しの畳を選ぶということです。
畳の縁というとこの部分ですね。
和風な雰囲気を出す場合は縁の柄をアクセントにするのも効果的なのですが、リビングなのでできるだけ和風感を減らした方がLDK全体としてのバランスは良くなります。
そのため、畳リビングにする場合は縁なしの畳を選ぶのが正解という訳なんですね。
Photo:http://www.koide-arc.com/example/3717/
ベストは上の画像のような縁なしの半帖畳ですが、縁がなければ1帖サイズの畳でも全く問題ありませんし、緑以外の色の畳を選んでアクセントにしてみるのも良いですね。
畳リビングは奥まった位置に配置する
Photo:https://www.houzz.jp/photos/phvw-vp~86052390
畳リビングにする場合、畳リビングをどの場所に作るかというのも居心地に関わってきます。
畳リビングは床での生活がメインとなるので、リビングの回りが通路となって人が頻繁に行き来する間取りだとちょっと落ち着かない場所になってしまうんですね。
そのため、畳リビングにする場合は人があまり行き来しない奥まった場所に配置するのが基本となってきます。
間取り上、どうしても奥まった位置に配置するのが難しいという場合は、段差をつけるなどメリハリが効いた空間にしておきたいですね。
畳リビングが合ってる人、合わない人
それでは最後に畳リビングが合う人、合わない人について見てみましょう。
やはり畳リビングが合う方は畳が好きな方や床での生活が好きな方。
この2つの条件が当てはまるかどうかで畳リビングが合うか合わないかが大きく変わってきます。
畳はそれなりにメンテナンスが必要な物なので、畳が好きかどうかは大きなポイントになってくるんですね。
また、人がよく集まる場合も畳リビングはオススメです。
床に座ることが椅子やクッションの数に関係なく同じ目線の高さで一緒に楽しめるからなんですね。
その結果、人が集まって楽しく感じるリビングにすることができます。
その一方、畳リビングは一般的なフローリングと比べると価格も高くなりますしメンテナンスの頻度も増えるようになります。
そのため、家のメンテナンスはできるだけ少ない方が良いという場合は畳リビングは避けた方が無難です。
また畳という特性上、洋風の雰囲気の家にしたい場合はどっちつかずの中途半端な雰囲気の家になってしまうので、和モダンからナチュラルな雰囲気の家を目指す場合に畳リビングを選択肢に入れたいですね。
その他、畳リビングにするかリビングの横に和室を作るか迷うというケースもよく有ります。
その場合は畳中心の生活がしたいかどうか。
この部分を明確にするのがポイントになってきます。
たとえばリビングの横に和室を作っても、やはり生活の中心はリビングになりやすいものです。
リビングは家の中でも一番快適に作る場所なので、リビングの方が楽で居心地が良いとなるんですね。
その結果、あまり和室には行かないというケースもよく耳にします。
そのためどれだけ畳が身近な家にしたいのか。
この部分をハッキリさせることでよりあなたに合った家を作ることができるんですね。
まとめ
今回は畳リビングについて詳しく見てきました。
リビングを畳にするというのは少し勇気が入りますが、畳や床での生活が好きな方にとっては畳リビングにすることで毎日の生活をより楽しくすることができるんですね。
また、今回ご相談いただいた読者さんのように畳リビングが気になるけどもちょっと個性が強いかなと思ってしまうのは自然なことです。
そのため今回の内容を参考にあなたに合っているかどうか検討してみた上で、やっぱり畳が好きという方はぜひ畳リビングに挑戦してみてくださいね。
では。
和室についてはこちらも参考にしてください。
→和室、畳コーナーの広さはどれくらい必要?2畳から8畳まで比べてみました
→小上がりの和室ってどうなの?小上がり和室のメリットとデメリット
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