坪26万円と広告に書いてある会社で、本当に坪26万円で家が建つのか?
こんな質問を友人から受けたO型建築士です。
その結果、私が坪26万円で家が建つと書いてある会社に調査に行く事となりました。
果たして坪26万円で家が建つのか?
これから住宅会社を決める方や家の金額が気になる方はぜひご覧下さい。
それではどうぞ!
住宅会社を見に行くようになった理由
まず始めに、今回の経緯をお話しさせてもらいます。
私の友人でそろそろ家を建てたいと思っている者がおりまして、どこで家を建てるか住宅会社を探していました。
友人は、「ある程度お金が掛かってもしっかりした家を建てたい」
友人の奥さんは、「家にあんまりお金をかけたくない」
そんな感じで家に対する考え方がちょっと違う夫婦です。
ある時、坪26万円と書いてある家の広告を友人の奥さんが見つけまして、「この会社で家を建たらいいじゃないの」という話が出てきました。
友人はしっかりした家を建てたい派。そんなこんなで、友人から相談をもらいました。
結論から言いますと、住宅会社が書いている坪◯◯円の家というのは広告用の金額です。友人の奥さんが坪単価に目がいったようにお客さんを集めるための価格であることがほとんどと言えます。
友人にこの事を説明すると、奥さんにも説明して欲しいとの事。
広告の坪単価に魅せられている人を言葉で説得するのは中々骨が折れるます。さらに最悪の場合、友人と組んで高い家を建てようとしていると誤解される可能性も捨てきれません。
というような経緯により、住宅会社に調査にいく事になった訳です。
では坪26万円の会社に行ってみましょう。
坪26万円の会社に行ってみた
今回のテーマは、「坪26万円の会社で本当に26万円で家が建つのか」です。
実は26万円で家が建つかどうかを見るためには、資金計画書という物をつくって貰うのが一番分かりやすいんです。
見積書だと、「見積書だけ安いけど、その他に必要な費用が異様に高い」なんて事もあり、本当の坪単価を知ることができません。
資金計画書をつくってもらうためには、土地情報を持って行って間取りを入れてもらうのが一番早いので、自社で販売している土地の販売図面を持って行く事にします。
→土地購入の注意点がたくさん載っている!土地の販売図面の見方を解説します。
住宅展示場で配っているお菓子が欲しそうな顔をしている暇そうな嫁を誘って、坪26万円の会社が出店している住宅展示場に向かいます。
住宅展示場に入ってまずはアンケート記入。営業マンから名刺をもらいます。
アンケートを記入したくない人はこちらを参考にしてください。
営業マンは名刺の渡し方もスムーズで、身だしなみも悪くありません。
早速家の中を案内してもらいます。
資料やカタログも揃っていて、家の中は見やすくなっています。
会社自体はちゃんとしてそうです。
営業マンは質問した事にもすぐ答えてくれます。
ですが・・、家の説明は結構メチャクチャです。
家の性能を表す数値に「Q値」、「C値」という数値があるんですが、「Q値」と「C値」の意味がメチャクチャだったり、断熱材の説明も自社に都合のいいように説明されたりと、見た目の印象とは裏腹に「この人、大丈夫か?」という疑問が頭をよぎります。
さらに、建売の分譲住宅に対しては物凄い強気です。家のレベルが違うとまで言い切っています。
というのが正直な感想。
住宅営業マンは、やはりいろんなタイプがいるもんですね。
住宅の説明も一通り終わったので、ずばり坪単価について聞いてみます。
この質問はよく聞かれるので答え慣れているのでしょう。ものすごいストレートです。
坪26万円から坪50万円へと一気に2倍の金額になりました。
ただ、私自身もこの会社の坪単価は坪50万円〜60万円という情報を持っていますし、家の説明と仕様からすると坪50万円くらいが妥当なところでしょう。
坪26万円は会社が発信している情報で、営業マンが悪い訳ではありません。あやふやな返答をする営業マンよりも、逆にリアルな金額を言える営業マンの方が信頼度は高いと言えます。
そのあと営業マンによる簡単な設計のヒアリングをしてもらい、後日再訪することになりました。
坪50万円の中身
後日、図面と資金計画の説明をしてもらうために坪26万円(坪50万円)の会社を再訪しました。
間取りはごく普通の間取り。(土地が狭いためか食事スペースがないのが残念。これで生活できるのか?)
述床面積 30坪
施工面積 34.5坪
の家でした。
坪単価は延べ床面積でなく、施工面積での金額との事。
資金計画の説明はしっかりしている営業マンでした。これは重要。
資金計画の中身を見てみると、
建物本体工事 ¥9,000,000-
オプション工事 ¥4,000,000- (太陽光150万円有り)
付帯工事 ¥1,200,000-
諸経費 ¥3,700,000-
合計(税抜) ¥17,900,000-
坪単価 ¥518,840-
合計(税込) ¥19,332,000-
坪単価 ¥560,347-
「上記に含まれていないもの」
その他の経費 ¥2,300,000-
(地盤改良など土地に必要な経費)
カーテン、照明、エアコン、外構工事はすべて別途。
以上のような結果でした。(多少アレンジしています)
施工坪単価で約52万円。太陽光無しだと約48万円。
述べ床面積で坪単価を出すと、約60万円。太陽光無しだと約55万円。
坪26万円の会社に行った結果
坪26万円の家は、坪48万円の家だった。(施工坪単価、税抜)
概算見積もりで間取りも詰めていないため、坪5万円くらいは最終的には上がるでしょう。
感想を言うと、この広さでこの金額はそんなに高くない印象です。分譲住宅を買うなら、この会社の安い仕様でいいかなという感じです。建売ではないので工事に安心感もありますし。
間取りについては微妙なので、やはり価格相応の設計力という感じ。低価格がウリの会社は設計に時間と人をかけられません。人件費で家の価格が上がってしまうからです。その結果、微妙な間取りの家が世の中に増えていってしまうのは、何ともやるせないですが・・。
あと、坪単価を見るときは、施工坪単価なのか述床坪単価なのか見るのが重要です。それだけで結構違いが出ます。(上記結果参照)
また、税込か税抜かでも坪単価が5万円前後変わってくるので、消費税もチェックした方がいいですね。(今回の坪26万円は税抜でした)
後日談
友人夫婦に今回の結果を報告した結果、奥さんは家を建てるのに坪50万円は必要になるのが分かってくれました。
しばらくして・・
地域の工務店には施工エリアというのがあります。
あんまり遠いと、何か合った時にすぐに駆けつけられないからです。基本地域密着ですね。
友人夫婦は今も住宅会社を探しています。
また、どっかの住宅会社を見てきて欲しいと言われそうな感じがプンプンしている今日この頃です。
皆さんも良い工務店との出会いを。
では。
この話の続きはこちらです。
→坪単価45万円の会社だと、いくらで家が建てられるのか調査しました
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
坪単価26万円の会社で、坪26万円の家は本当に建てれるの?
- 坪26万円の会社では、坪48万円で家が建てられる。(施工坪単価、税抜)
- 坪単価は、見積もりではなく資金計画書で説明してもらうのが重要。
- 坪単価は施工坪単価なのか述床坪単価なのかを確認する。税抜、税別も。
- 坪単価表示の金額では、家は実際には建たない。