先日、何回かに分けて「空き家対策特別措置法」についてお伝えしました。
詳しくはこちらのまとめをご覧ください↓
→【まとめ】これからの土地探し。空き家対策特別措置法の影響を予測する
この「空き家対策特別措置法」によって、空き家を持っている人は間違いなく影響を受けます。では、空き家を持っている人以外に影響を受ける人はどのような職種の人でしょうか?今回は、「空き家対策特別措置法」によって恩恵を受ける業界についてスポットを当ててみましょう。
不動産業界 売買編
「空き家対策特別措置法」によって空き家そのものを手放そうと考える人が増えてきます。そうなると、増えてくるもの。それは、土地の売買です。その土地の売買に無くてはならないのが不動産屋です。(今の所、不動産屋以外に不動産の市場取引は認められていません)
不動産屋は土地の売買金額に対して数パーセントの手数料をもらい利益をあげます。そのため、不動産の売買が活発になればなるほど仕事が増えて利益を上げるチャンスが生まれます。
注意点として、不動産は土地や物件の価格が高い方が利益が多く、価格が安ければ手数料ほどしか収入がありません。そのため、田舎の郊外のタダ同然の土地の売買については断る不動産屋も出てくるでしょう。もしかすると、「タダ同然の土地は不動産屋にプラスαの手数料を支払わないと取り扱ってもらえない」などという笑えない事態が起こる可能性もあります。実際に、去年不動産を売却した人はこのような結果になりました。↓
不動産の売買でいうと、都市部から都市部郊外は「空き家対策特別措置法」の影響が顕在化してくれば、取引の活性化が見込まれます。
リフォーム業界、不動産業界 賃貸編
一方、空き家を売るだけではなく、空き家を貸し出すケースも増加します。それでは、賃貸業界はどうなるでしょうか?
賃貸業界は今でも空室率が上昇している上に、相続税対策のために賃貸住宅を建て続けています。そのため、立地がいい空き家を除き、ただ古くなっただけの空き家を賃貸で出しても、借りてくれる人を見つけるのは難航するのが予想されます。そのため、賃貸を扱う不動産屋には影響はほとんど出ません。
では、どうすれば空き家の借り手を見つけやすくなるでしょうか?
空き家を賃貸に出しただけでは人が集まらないので、ひと工夫して空き家の借り主を見つけようという空き家オーナーも当然出てきます。まず考えられるのがリフォームです。
お金をかけないなら、壁紙を張り替えるといった簡易なリフォーム。お金をかけるなら、設備を新しくするといったリフォームになるでしょう。リフォーム業者からも「見た目をキレイにして賃貸に出しましょう」という提案が増えるようになります。この場合、お金を出した分だけちゃんと回収が見込めるかどうかリフォーム業者と話し合う事が重要です。少なくとも空き家のリフォームは増えてくるので、リフォーム業者にとっては空き家にはチャンスが広がっています。
他に賃貸に出す方法として、「空き家を自由に模様替えしてもいい」という条件をつける方法もあります。空き家を出ていく時に、借りた時の状態に原状回復しなくてもOKというものです。今、若い人を中心に自分の好きな空間の中で暮らしたいというニーズが結構あります。また、自分でDIYする方法を教えてくれるワークショップなんかも盛んに行われています。(余談ですが、私も若い頃このような賃貸を借りていました。なかなか楽しいものですよ。)
この「原状回復しなくてOK賃貸」だと、空き家オーナーに費用は発生しないですし、もしかしたら「貸せば貸すほど貸し出す前より雰囲気が良くなっていく」なんていう事もあるかもしれません。この場合の注意点とすれば、「中は自由にしてもいいけど、外はさわってはダメ」といった最低限のルール決めや、大きく中を変えるなら大家に事前報告といった賃貸契約時の取り決めがポイントになってきます。くれぐれも「気付いたら柱が切られて家が倒壊寸前だった」なんて事にならないよう注意が必要です。
それでは次に、その他の業界について見てみましょう。
その他の業界
まずは、不動産やリフォーム業会以外に影響が出そうな所を考えてみましょう。
まず最初に考えられるのが、空き家の管理がビジネスです。定期的に空き家を訪れ、自治体に「特定空き家」とされないように管理を行います。実際に大手の会社から格安のNPOまで様々な会社が参入し始めています。
次に、空き家を壊す時に登場する「解体屋」という業者がいます。今でも建替えのニーズで結構忙しい業界ですが、今後、空き家の取り壊しが増える事を考えると、しばらくは忙しい状態が続きそうです。皆さんも、古屋のある土地を買って家を建てるというケースがあると思うので、解体の見積もり相場や裏話などを後日お伝えしますね。
さらに、解体して空き地になると、空き地の活用が考えられます。空き地のままの活用としてはコインパーキング業界が駐車場の数を増やしてくるでしょう。
一方、空き地が家やビル、アパートになることも考えられます。家やビル、アパートは新規案件が今後は減っていく事が予想されるので、空き家の立て替えは都市部の建設会社や工務店にとってはプラスとなります。
一番恩恵を受ける人
最後に、「空き家対策特別措置法」で一番恩恵を受ける人を見てみましょう。それは、土地を探して家を建てようと考えている人です。なぜなら、いい土地が出てくる可能性が高くなるうえに、土地の価格もお手頃な価格で出てくる可能性が上がるからです。土地を探している人は、ぜひこのチャンスを活かして土地をみつけてくださいね。詳しくはこちらの記事を読んでください。
まとめ
これまで見てきたように、「空き家対策特別措置法」によって恩恵が出る業界が出てきます。不動産や建築業界など空き家に関係する業界です。そして、一番恩恵を受けるのは、土地を探してこれから家を建てようという人です。
逆に、空き家オーナーにとっては厳しい時代がすぐそこまで来ています。「空き家を売る」、「空き家を活用する」どちらにしても、「空き家の事は将来に考えればいいや」という考えが通用しなくなってしまいます。空き家オーナーの行動とアイデアが試されることになるのです。
日本の空き家率は10%を超えます。10%を超える空き家がどう活かされるようになるのか?「空き家対策特別措置法」によって日本の住環境が変わるきっかけになって欲しいものです。
では。
空き家の活用についてはこちらをご覧下さい
→住む人が自由にリフォームできる時代が来る?空き家リフォームローンが登場
空き家対策特別措置法はこちらも参考にしてください。
→【まとめ】これからの土地探し。空き家対策特別措置法の影響を予測する
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
どんな業界が 「空き家対策特別措置法」の恩恵を受ける?
- 不動産業界:空き家の売買が活発になる。
- リフォーム業界:空き家のリフォームが増える。
- 空き家のオーナー:空き家利用について考える人が増え、アイデア次第でチャンスに繋がる。
- 空き家をオーナーに変わって管理する空き家管理業。
- 空き家を解体する解体業。
- 空き地を活用するコインパーキング。
- 空き地に家やビルを建てる建設業。
- 一番恩恵を受けるのは、土地探しをしている人。もしかしたら「あなた」かもしれません。