家づくりをする時に誰でも1度は見学する「モデルハウス」。
モデルハウスは色んな家があるので見ていて楽しいですし、その住宅会社が建てている家がどんな雰囲気の家なのかを知るのにモデルハウスというのはとても重要なものになります。
その一方、同じモデルハウスでも見学してあなたの家づくりの役に立つモデルハウスもあれば、そんなに役に立たないモデルハウスもあるなど、モデルハウスによって家づくりの参考になる場合とならない場合があります。
では、その違いは何なのでしょうか?
今回は、見学した方が良いモデルハウスについて詳しく見ていきたいと思います。
2種類のモデルハウス
モデルハウスには大きく2つに分けることができます。
1つは住宅展示場に建っているモデルハウス。
もう1つは住宅街など街中の土地にモデルハウスを建てるという2つのケースです。
この2つの大きな違いとしては、住宅展示場は何社ものモデルハウスが建っているのに対して、住宅街などに建てたモデルハウスは住宅会社が街角の一角の土地に自社の家だけを建てるという違いがあります。
では、どちらのモデルハウスを見学した方が家づくりの参考になるのでしょうか?
答えは後者、住宅街に建てたモデルハウスを見学した方が家づくりの参考になるケースが多くなります。
それでは、その理由を詳しく見ていきましょう。
住宅展示場のモデルハウスを見学した場合
家を建てる場合、住宅展示場を見に行ってみようと思う方も多くいらっしゃると思います。
住宅展示場は日本各地にありますし、いくつのも住宅会社のモデルハウスが集まっているので家づくりの参考に気軽に見学できるというのは大きな魅力と言えます。
(私自身、建築士として住宅会社の人と話す時には住宅展示場へ行くこともよくありますし、いろんな地域の住宅展示場を定期的に回っているので、住宅展示場は結構好きな場所です)
その一方で、実際に家づくりを考えた時、住宅展示場のモデルハウスを見学して一般の方が参考になるかと言われると、そこまで参考にならないのではと思うことがよくあります。
その理由としては、家の規模、仕様が家を建てようと考えている人と違いすぎているというのが大きな理由です。
モデルハウスなので家の規模が大きくなったり家の内装に良い物を使うという気持ちはとてもよく分かるのですが、「その程度」が実際に家を建てる方とかなり離れていることが多いんですね。
そのため、予算がかなり潤沢にある方や、土地はすでに持っていて家に予算を沢山使えるという方にとって参考になることはあっても、普通に家を建てようと考えている方にとってはあまり参考にならないというケースもよくあります。
このような背景としては、住宅展示場として多くの住宅会社が集まっているというのも大きな理由の1つです。
たとえば住宅展示場に、A、B、Cの3社のモデルハウスがあるとして、A、B社は豪勢なモデルハウスに、C社は一般的な家に少し手を加えたモデルハウスだとどうでしょうか?
すぐそばに見栄えのする他社のモデルハウスがあるので見劣りしてしまうんですね。
住宅展示場は比較的規模の大きな会社が入っており、自社だけ見劣るというのはモデルハウスの担当者としては避けたい事の1つです。
その結果、どのモデルハウスも豪勢な仕様となるんですね。
ちなみにこれは余談ですが、住宅展示場にモデルハウスを持つと家賃も結構します。
(地域にもよりますが、数年出店していれば豪邸が建てられるくらいの家賃です)
その金額に見合うようにモデルハウスを建てる敷地もかなりゆったりしていますし、モデルハウスの大きさも必然的に大きくなり、見栄えの良さというのもプラスされるんですね。
(モデルハウスの坪単価で言うと100万円は軽く超えて200万円オーバーになる事もあります。少なくとも50坪はあるモデルハウスがほとんどなので、モデルハウスその物が家づくりの参考になるケースは結構限られてくるんですね)
その一方で、あえて実際の家のサイズ感が出るようなモデルハウスを作るケースもあります。
たとえば、「家」と「離れ」を作って「離れ」は打ち合わせスペースに、そして家の大きさを実際の家に近いサイズにするといった感じですね。
そのような家はサイズ感が建てる家とかなり近くなるので、住宅展示場にサイズ感が一致するモデルハウスが入っている場合はチェックしておきたいですね。
住宅街のモデルハウスを見学した場合
それでは次に、住宅街に建つモデルハウスについても見てみましょう。
住宅街に建つモデルハウスの場合、モデルハウスなので土地は周囲よりも多少大きい事は有っても、周りから違和感を感じるようなサイズ感のモデルハウスにする事は少なく、住宅街に建つ周りの家とそれ程大きさは変わらないケースが多くなります。
家のサイズ感が住宅展示場のモデルハウスと比べると実際の家にかなり近くなるんですね。
また、実際にある土地にモデルハウスを建てるので、家を建てるための法律的な制約も普通の家と変わりませんし、道路との距離感や周辺環境をどう活かすかといった設計のレベルもより具体的に見ることができます。
周りの家と同条件で建っているモデルハウスなので、その中のアイデアをあなたの家づくりにも反映させやすくなりますし、サイズ感も似ているためより具体的なイメージを持つことができるんですね。
実際、モデルハウスの規模感というのはかなり重要で、間取り診断で間取りの相談をいただく際にも、規模感が全く違うモデルハウスを見学した時に「イイな」と思った物を採用したけども、その結果間取りのバランスが悪くなってしまっている間取りというのも時々見かけます。
たとえば、モデルハウスの影響を大きく受けるケースとして多いのが玄関を家族用、来客用に分けたケースで、モデルハウスの場合はかなり広さに余裕があるので玄関を分けるのは簡単ですが、家の大きさがある程度限られる場合は玄関を分けることで玄関の広さがどっち付かずの状態になってしまうこともあります。
そうなると快適で使いやすい玄関にするという目的と全く違う玄関ができてしまいますよね。
(モデルハウスの玄関が家族、来客用に分かれていれば、見学した際に住宅会社も「玄関を分けるのは良いですよ」と言っていることがほとんどなので、バランスが悪くなっても誰も止めないというのが大きな原因です)
家の規模が大きいから映える物と、家を上手くまとめることで映える物というのは根本的に違ってきます。
あなたの建てたい家の大きさに合ったモデルハウスを参考にした方が良いというのは、このような理由からなんですね。
モデルハウスを見学する際は実際のサイズ感にどれだけ近いモデルハウスを見学するのか。
この部分がかなり大切なんですね。
また、住宅街のモデルハウスは「回転」が早いというのも魅力の1つです。
新しいモデルハウスを作りたいという場合は今のモデルハウスを売りに出せばいいので、長く楽しめるアイデアは残しつつ新しいアイデアや時代のニーズに合わせたアイデアを盛り込んだモデルハウスに常にアップデートしやすいという特徴があります。
将来的にはモデルハウスは売却するのでただの自己満足のアイデアではなく、実際に生活しやすいかどうかというのも意識されている家が多いというのも、住宅地に建っているモデルハウスの特徴です。
このような事を含め、住宅地にあるモデルハウスは家づくりの参考にしやすいんですね。
まとめ
今回は見学して参考になるモデルハウスと、あまり参考にならないモデルハウスについて見てきました。
見ていて楽しい家と、実際の生活に活かせる家というのには違いがあります。
まずはサイズ感があなたの建てたい家と合った家を見学する。
この部分が家づくりに参考になるかどうかを大きく分けるんですね。
もちろん、サイズ感が大きなモデルハウスを見て「イイな」と思うこともあります。
そんな時も、これまで建てた家やOBさんの家など、あなたの建てたい家と同じ規模感の家を必ず1度は見せてもらう。
そうすることでサイズ感をしっかり掴むことができ、納得いく家づくりができるようになります。
モデルハウスの見学は楽しいものです。
ただ、楽しいのと家づくりの参考になるかは別の話。
忙しい毎日の中で家づくりをする時間を作ることになるので、より楽しくより有意義に。
そんなモデルハウスを見学していきたいですね。
では。
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