間取り診断をさせいただいた読者さんより、次のような質問をいただきました。
「間取り診断を依頼して本当によかったです。ありがとうございました。
最後に1つ質問があるのですが、O型建築士さんはどうして間取り相談を始めることにされたんですか?
間取りの相談を受け付けてくれる人なんてほとんど見かけないので、どうして間取り相談を始められたのか気になってしまいました(笑)」
たしかに、住宅会社や工務店は無数にあるのに、間取りの相談ができるところってあまりないですよね。
そこで今回は、家づくりに間取り相談は必要なのかと私が間取り相談を始めたきっかけをお話したいと思います。
間取り相談の効果とは?
まずは間取り相談をすることで、家づくりにどんなメリットがあるのでしょうか?
まず、間取りを第3者のプロの建築士に見てもらう効果として、間取りを良くしたり「間取りをもっとこうしておけばよかった」という間取りの失敗を減らすと言う目に見える効果は当然期待できます。
やはり誰でも良い間取りにしたいですし、間取りの失敗はできる限り無くしたいですよね。
少なくとも経験豊富な設計士が間取りを見れば間取りのクオリティは上がりますし、間取りの失敗を防ぐためのセーフティーネットとしての役割も果たしてくれます。
実際に、私の会社ではお施主さんに最初の間取りを出す前に複数の建築士が集まり、その間取りに対して改善できる場所や要望とのズレが無いか、コンセプトは合っているかなどの会議を行なっています。
最初は難しい要望に対する周りからのアドバイスという形で始めたのですが、実際に複数の建築士が間取りに対して意見を言うというのは間取りのクオリティアップに大きな効果があったので、今では必ず会議が行われることになりました。
(個々の建築士のレベルアップにも繋がるという効果もあります)
このような事から、複数の建築士が間取りを見るというのは間取りを良くするのにかなり効果的です。
でも、実は間取り相談の本当の効果は、間取りが良くなることだけではないんです。
では、間取り相談の本当の効果って何でしょうか?
間取り相談の本当の効果を、間取り相談が必要でないケースと必要なケースを元に見てみることにしたいと思います。
間取り相談が必要ないケース
間取り相談が必要かどうかは、その人によっても違ってきます。
誰でも間取り相談をした方は良いという訳ではなく、状況次第で間取り相談が必要なのか、それとも必要でないのかは変わってくるという訳ですね。
では、まずは間取り相談が必要ないケースを見てみましょう。
- 設計担当者との信頼関係ができている。
- 今の間取りを気に入っている。
- 家の打合せに満足している。
このようなケースに当てはまる場合は、間取り相談をする必要はほとんどありません。
極端な話ですが、建築中に多少のトラブルがあったとしても、上記に当てはまる方は家を建ててから満足される可能性はとても高いです。
どうしてでしょうか?
それは「自分たちが選んだ選択」に納得できているからです。
家づくりで満足するかどうかは、実はこの「自分たちが選んだ選択」がとても大きな影響力を持っているんですね。
家づくりは間取りを決める事もそうですし、仕様を1つ1つ決めるのもある意味決断と言えます。
さらには家を建てるパートナーを決めるのも大きな決断ですね。
このように家づくりは決断の連続となります。
そして、家ができてから満足されている方は、この「自分の決断」に後悔をしていない方がほとんどなんです。
例え小さな失敗や迷いがあったとしても、そんなのが気にならないくらい信頼関係ができていたり打合せに満足されている状態であれば、「自分たちが選んだ選択」に自信が持てるんですね。
そしてその結果、でき上がった家の満足感も大きなものとなります。
このように今までの家づくりに納得されている方は、すでに「自分たちが選んだ選択」に後悔はないので、間取りの相談をしてもしなくても、でき上がった家の満足度はそれほど大きくは変わらないんですね。
間取り相談をした方がいいケース
では次に、間取り相談をした方が良い方はどのような方でしょうか?
それは、下のような事が当てはまる方です。
- 設計担当者と信頼関係ができていない。または営業マンが間取りを作っている。
- 今の間取りが気に入っていない。もしくは、これでいいか心配がある。
- 家の打合せに満足感がなく不安がある。
このようなケースの場合、間取り相談をした方が家ができてからの満足度が上がります。
理由はもうお分かりになりますね。
家づくりで行ってきた、「自分たちが選んだ選択」が正しいかどうか分からず、迷いや不安があるからなんですね。
そのような状態で家づくりを進めたとしても、何かがある度に「ああしておけばよかった」、「こうしておけばよかった」ということが頭に浮かびやすくなってしまいます。
そのような不安の状態の中で家づくりをした場合、例えすごく良い家ができたとしても、「もっとこうすればよかったんじゃないか」「もっと良い家にできたんじゃないか」ということを考えてしまい、素直に自分たちがしてきた家づくりの選択を評価しづらくなってしまうんですね。
そんなことになってしまえば、せっかく時間と労力をかけてきた家づくりがとてももったいなくなってしまいます。。
そんな「自分たちが選んだ選択」に納得するための手助けとなったり背中を押してくれるのが、間取りを相談するということです。
間取りに対する迷いや不安が無くなるので、「自分たちが選んだ選択」が正しかったのかどうか判断することができますし、「自分たちが選んだ選択」に自信を持つための材料ともなってくれるんですね。
実は、これが間取りが良くなる以外で「間取り相談」をすることで得られる1番の効果なんです。
間取り相談をきっかけに、家づくりへの迷いが消えて気持ち良く家づくりができる方もいらっしゃいますし、反対に家づくりを1度立ち止まってよく考えるきっかけとされる方もいらっしゃいます。
もちろん間取りを良くすることは家づくりの中でとても重要ですが、間取りの影に隠れて見えていなかった家づくりの不安や迷いというのも、プロの第3者へ間取りを相談する事で見えてきたり、その不安や迷いを解消することのきっかけになるんですね。
これは、これまで数多くの間取り相談をさせていただいて、明らかに感じる効果です。
あなたがこれまで進めてきた家づくりに納得しているかどうか。
家づくりではこの部分がとても大切になってくるんですね。
まとめ
私は日頃は建築士として多くの方の家づくりに関わっていますが、家づくりの打合せの本質は良い物をつくるのというのはもちろん、家を建てる人の選んだ選択を自信を持ってもらうこと。
これがとても大切なことだというのが、日々感じるところです。
また、このサイトの運営を始めて規模が大きくなるにつれて間取りの相談を多くいただくようになりましたが、打合せで不安や迷いが減るどころか増えていることが多い方からのご相談が思っていたよりずっと多い事に気付きました。
ちなみに、私が間取り相談を受け付けるようになったきっかけは、周りで家を建てる友人や知人に1度間取りを見て欲しいと声をかけてもらうことが増えたのが、1番大きな理由です。
それだけ、「間取りが大丈夫か気になっている人がいるんだな」というのが最初の感想でした。
でも、だいたいは打合せも終わって家が着工する前であったり、工事がすでに着工していることも多く、間取りで気になる所を指摘してもすでに手遅れであることもよくありました。
間取りを相談するタイミングがいつが良いのか判断が付きにくいということもありますし、そもそも間取りを相談するという方法があること自体、知らなかったというのが大きな要因です。
そこで、間取りに不安がある人に間取り相談という方法があることを知ってもらうために、このサイトでも「間取りの相談を受付ます」と書いたことが間取り相談を始めたきっかけです。
始めは無料で間取り相談を受付させていただいていたのですが、いつ頃か手が回らなくなりはじめ、件数を絞るために有料へと変更させていただきましたが、週に何件ものご依頼をいただき多くの方の家づくりのお手伝いをさせていただいているのは、とてもありがたいことだと思います。(やはり誰かの役に立つことをしない限り、満足感は得られないというのも再認識させてもらいました)
このサイトをつくった目的は「日本に良い家を増やしたい」というのが1番の目的なので、そのためにもっと情報発信したいことや、やりたいことが沢山あるため、数年後には間取り相談の受付を止めているかもしれないなとも思っています(時間が確保できないので・・)。
ただ、手が回らなくなるまでは間取り相談をしたいと言ってくださる方のため、しっかりと間取りの相談を受け付けていきますので、間取りで不安や悩みをお持ちの方はぜひご利用くださいね。
→間取り診断のご案内(間取り相談については詳しくはこちらをご覧ください。クオリティ確保のため、ひと月に間取り診断をお受けする件数を制限させていただいております。何卒ご了承お願いいたします)
ぜひ、一緒に日本に良い家を増やしていきましょうね。
では。
家の設計についてはこちらも参考にしてください。
→危険な間取りの3つの特徴。あなたの設計担当者はこんな人ではないですか?
→プロとしての意見がない設計士、プロとして個性が強すぎる設計士
→設計士さん次第で、どうしてこんなにも違うの?その理由をお答えします。
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。