「家に小さくても良いので書斎が欲しいのですが、どんな書斎にすればいいか迷っています。書斎について記事にしてもらえないでしょうか?」
読者さんからこのようなリクエストをもらいました。
家でも仕事をすることがある方にとっては家に書斎があると便利なものですし、働き方でリモートワーク(在宅勤務)も推奨されている最近では仕事に集中できるスペースを家に作っておきたいという方も増えています。
また、書斎というと本棚と机があるスペースをイメージすることも多いと思いますが、家事スペースも兼ねた書斎にするなど、書斎のあり方というのは家を建てる方それぞれに合ったスタイルの書斎を作るように変わってきています。
それだけ書斎の作り方というのは多彩になってきているんですね。
そこで今回は書斎を作る時のレイアウトやポイント、注意点について詳しく見ていきたいと思います。
書斎が気になる方や、ちょっとした作業スペースも欲しいなという方はぜひご覧ください。
書斎は2種類に分けられる
まず、書斎の種類は大きく2つに分けることができます。
それは、
- クローズ型の書斎
- オープン型の書斎
この2種類の書斎です。
クローズ型の書斎とは書斎が部屋として独立している書斎のことを言い、オープン型の書斎とはリビングや寝室などの一部を書斎として使えるようにしたスペースの事を言います。
このように書斎はクローズ型、オープン型の2つに分けられますが、書斎をどちらにするかでもメリット、デメリットというのはかなり違ってきますし、個性や使い勝手というのも大きく違ってくるんですね。
それではそれぞれの書斎の特徴について見ていきましょう。
クローズ型の書斎
Photo:https://ienakanote.com/member/63/record/1049/
書斎というとイメージしやすいのがクローズ型の書斎です。
小さな個室にデスクと本などが置ける棚があるという感じですね。
一般的な住宅でクローズ型の書斎を作る場合、広さは小さいもので1畳くらい、大きいもので4畳くらいになることが多く、それ以上大きい場合は普通の部屋を書斎として使うというケースが多くなります。
そして、書斎を作る場所は寝室の近くの静かな場所であったり、寝室の中に書斎を作って寝室からアプローチするというのが一般的です。
それではクローズ型の書斎のメリットについて見てみましょう。
クローズ型の書斎のメリットとしては、誰にも邪魔されない場所なので集中しやすく生産性の高い空間にできるということが挙げられます。
独立型の書斎であれば作業中に家族に声をかけられることもほとんどなく、静かな環境で作業に没頭することができるんですね。
また、一人になれるというのもクローズ型の書斎の魅力の1つです。
最近の家では壁の少ないオープンな作りの家が増えていますが、言い換えればそれだけ一人になれる空間も減っていると言えます。
そんな時、クローズ型の書斎があることで誰にも干渉されない一人の時間を持つことができ、気持ちを整理するなど心を整える時間を持てるようになるんですね。
このような一人の空間が必要かどうかは人によってかなりハッキリと分かれてきますが、一人の空間があることでストレスの少ない生活を送れるのであればクローズ型の書斎というのは魅力的な選択肢となってきます。
その他、仕事などで重要な書類などを多く扱う場合はクローズ型の書斎はマストな存在となります。
オープン型の書斎だと書類に子供がいたずらしたりパソコン上の情報でも人目についたりしてしまうため、あまり相性が良いとは言えません。
一方、クローズ型の書斎であれば重要書類があってもしっかり管理することができますし、紛失や情報漏洩などの恐れも格段に少なくなります。
最近では副業をするという方も増えていますが、副業で契約書を交わして仕事をするという場合なんかもクローズ型の書斎にしておいた方が無難ですね。
また、書斎は仕事ばかりでなく趣味の部屋としても使うことができます。
コレクション置き場を兼ねるのも良いですし、趣味に没頭できる場所にするのも楽しいものです。
男の隠れ家のような書斎がある家というのも魅力的ですよね。
ただ、書斎を趣味のスペースにするとあまりに書斎が心地良すぎて書斎に籠りっぱなしになってしまうこともあるので、家族のことを考えると書斎にいる時間はほどほどにしておきたいですね。
このようにクローズ型の書斎は小さくても独立したスペースが有るというのは人によって大きな価値になりますが、その一方でデメリットもあります。
次にクローズ型書斎のデメリットについて見てみましょう。
クローズ型の書斎を作るときの最大のデメリットとしては、ある程度のスペースを書斎という個人空間に使う必要があるということです。
最近では各個室はコンパクトにしてLDKなど共用スペースを広くするというニーズが大きいですが、書斎を作るスペースがあるのであればLDKを広くしたり家の素材に良いものを使いたいなど、予算の中で書斎を作るかどうかは議題に上がりやすいんですね。
そのような場合、書斎があることで仕事がスムーズに進むなど書斎のメリットを明確にして、家づくりの中で書斎がどれくらいの優先順位なのかハッキリさせるのがポイントになります。
書斎が何となく欲しいという理由だとあまり使わないスペースになってしまってもったいないですが、明確な理由があって重要度を見てみることでクローズ型の書斎を作るかどうかの判断材料になるんですね。
(実際、何となく欲しいというケースでは結局使わないことも多いです)
また、理由によってはクローズ型ではなくオープン型の書斎にしてスペースを効率的に使うというのも1つの方法となります。
そして、クローズ型の書斎にするか迷った時は、自分の書斎があることでどれくらい日々のモチベーションが変わるか意識してみると効果的です。
日常生活が楽しくなるのであれば価値は高くなりますし、それ程ではない場合は誰でも使えるオープン型の書斎で十分と言えるんですね。
→それはモチベーションが上がるものですか?家の優先順位で迷った時に考えたいこと
その他、書斎を作る費用対効果を考えてみるというのも1つの判断材料となります。
たとえば書斎を作るのに50万円かかるとして、25年使うことを考えると「1年で約20,000円」ほどになります。
これだけの価値が書斎にあるかどうか検討してみるのも書斎で迷った時に効果的ですよ。
また、書斎のスペースが確保できない場合はロフトを作って書斎にするという方法もあります。
→ロフトのある家って実際どうなの?100棟以上見てきた正解がコチラです。
オープン型の書斎(書斎コーナー)
独立した書斎までは必要ないけども生活の中で机で作業することがあるというケースもよくあります。
「ダイニングテーブルで代用してもいいかな」と思うこともありますが、道具を使うたびに運んだり食事が近づくと作業を中断しないといけないというのはやはり手間ですよね。
そんな時に役立つのがオープンな書斎です。
特に家事の合間に使える位置に書斎があれば家事をしながら手が空いた時に簡単に使うことができますし、書類などもまとめて整理できるようにしておけば部屋の中が散らかることもありません。
このようにオープンな書斎は使いたい場所で気軽に使えるという点が大きな魅力で、LDKの近くに配置することで大きな効果を発揮してくれます。
また、LDK内にオープン型の書斎を配置する場合に相性が良いのがリビング階段です。
書斎はそれほど高さが必要でないので、リビング階段の下を書斎スペースにすることも可能になるからなんですね。
Photo:https://www.pinterest.jp/pin/684758318318440439/
その他、書斎の前に大きな窓を設けて庭の緑が目に入るようにするなど見た目にも少しこだわってみるとより魅力的な書斎にすることができます。
一方、リビング内に書斎スペースを設ける場合の注意点としては、TVなど気が散ってしまう物の近くに配置しないという点は忘れずに覚えておきたいところです。
作業をしようと思って机の前に座っても、すぐ横でTVの音が鳴っていてはうるさくて作業に集中できないですよね。
TVが好きな人だと作業よりもTVの方が気になってしまうなんてことも。
そのため、LDK内でもできるだけ静かな場所に書斎を配置するのがポイントとなります。
また、少し落ち着いた作業スペースにしたい場合は書斎とLDKの間に本棚や収納を挟むなど、ワンクッション入れてあげるのも効果的です。
その他では、吹抜けに面した2階のホールや廊下などにオープンな書斎を作るというケースもあります。
吹抜けがあると家の中も見渡せ眺めも良いですし、ゆるやかにLDKと繋がっているのもいいですね。
その一方、あくまでホールの一部となるので、たとえば夜一人でその場所で作業しているというのは少し寂しいものです。
廊下であれば暖房設備が無ければ冬寒くなりますし、吹抜けのあるホールでも1階のLDKに人がいなくて吹抜けの下は真っ暗なのに作業しているというのは少し違和感があり、それならもっと快適な場所で作業したいですよね。
そのため、夜遅くまで作業することがある場合はLDKに書斎を作ったり、独立した書斎にした方が自然に使えるようになります。
また、寝室の一部をオープンな書斎にしたいというケースもあります。
間取りで言うとこんな感じですね。
寝室の一部をオープンな書斎にしているという場合です。
ただ、寝室に書斎を作る場合はこのようなオープンな書斎はあまりオススメはしていません。
その理由としては、書斎を夜に使おうとした場合、夫婦どちらかがベッドで寝る場合は光や音が寝る妨げになってしまうため、書斎を使える時間に制約が出てしまうというのが大きな理由です。
そのため寝室に書斎を作る場合は壁と扉を付けて音と光が漏れないクローズ型の書斎にするか、寝室は夫婦別々というケースに限っておいた方が無難なんですね。
寝室に書斎を作る場合は、使いたい時に使えるかどうかというのは、必ずシミュレーションしておきたいポイントです。
書斎の広さ
それでは次に、書斎の広さについても見てみましょう。
書斎の大きさは、主に机の広さと本棚など収納量に関わってきます。
それではまずは1畳の書斎から見ていきたいと思います。
1畳の書斎
1畳と言えばその名前の通り畳1枚分の広さです。
書斎を作る場合、1畳のスペースでも書斎を作ることができるんですね。
1畳の書斎を作る場合、本棚などの収納を考えるとデスクの上か椅子の後ろに本棚を作るというのがベースの形となり、あとは使いやすいようアレンジしていくのが基本になります。
DIYや細かい作業が好きな方は自分で好きなように書斎を作っていくのも楽しいですね。
新築の家だけでなく、1畳の収納を改造して書斎や秘密基地にしているケースもたまに見かけるので、秘密基地のような書斎にしたい方は参考にしてみるのも効果的です。
2畳の書斎
書斎で2畳分の広さがあると、スペースにゆとりが出るようになります。
デスクの幅も1m以上確保できるので作業をする場合もしっかりした広さが取れますし、本棚などの収納スペースもしっかり確保できるようになるので、書斎で2畳くらい取れると心強いですね。
狭すぎず、広すぎず、バランスのとれた書斎と言えます。
また、2畳の書斎の場合、間取りの関係で正方形では無くて長方形になってしまうというケースもあります。
そのような場合、出入り口の位置次第で書斎を効率的に使えるかどうか変わってくるので、使えるスペースが広くなるようにできるだけ書斎の中心付近に出入り口が来るようにしておきたいですね。
3畳の書斎
書斎も3畳あると机や収納だけでなく他の物を置いたり複数人で使用したりなど、使い方の幅にもかなり広がりが出てきます。
また、家で仕事をしているという場合も3畳くらいの仕事場を確保しておくと仕事のスタイルが変わった時でも対応がしやすくなるので、できれば3畳くらいの書斎を確保しておきたいですね。
その他、3畳あれば机だけで無く1人掛けのソファを置いたり、仕事以外にくつろぐスペースを作ることもできます。
一例を挙げるとこんな感じですね。
TVなどを置くスペースもありますし、書斎と趣味部屋を合わせたスペースにすることも可能になります。
また、書斎を夫婦2人で使う場合や子供も一緒に使ったりする場合は幅の広いデスクに2つ椅子を並べる形でもいいですが、ちょっと遊んでソファベンチを置くという方法もあります。
2人で使うときは横に並んで使い、1人の時はソファベンチでくつろぎながら使うなど、その時々に合わせて自由に使い方をアレンジできるようにするのも楽しいですね。
このように、書斎というのはレイアウト次第で印象というのはかなり変わってきます。
そのため使って楽しそうなレイアウトの書斎を目指したいですね。
書斎を作る時のポイント
Photo:https://www.e-yamatoya.com/13694/
それでは最後に、書斎を作る時のポイントについても見ておきましょう。
書斎を作る場合、まず日常生活の中で使う書斎にできるかどうかが一番のポイントとなってきます。
使わない書斎ほど無駄なものはないからなんですね。
そして使う書斎にするためには、何をするためのスペースなのかを明確にすることが大切になってきます。
書斎を何に使うか明確になれば、これまで見てきたクローズ型の書斎の方がいいか、それともオープン型の書斎の方が使いやすいかの判断もしやすくなり、日常使いできるコストパフォーマンスの高い書斎にグッと近づくんですね。
たとえば仕事でメインに使うのであればクローズ型の方がいいですし、集中したいという場合もクローズ型の方が使い勝手は良くなります。
一方、子供の様子を見たり家事をしながら少し仕事を片付けたり作業をしたいという場合はオープンな書斎の方が合っていると言えます。
また、誰が何処で使う以外にも、「いつ」書斎を使うというのも書斎を作る時のポイントになってきます。
たとえば夜遅くに使うことが多いのであればクローズ型の書斎か1人で静かなリビングの書斎を使うというのは相性が良い組み合わせとなりますが、ホールなどの共用スペースの書斎だと夜に一人で使っていると何だか中途半端な感じになってしまいます。
その他、日中に書斎を使うことが多いのであれば日当たりなど明るい場所の方が良いですが、夜に使うことが多い場合は南側は部屋にして書斎は北側など日当たりを気にしない場所に配置する方が家全体のバランスとしては良くなりますし、本や書類が日焼けするのも防ぐことができるようになります。
また、仕事場として毎日使うのであれば、やはり環境の良い場所に配置した方がより高いパフォーマンスを期待できます。
このようにいつどれくらい書斎を使うかをシミュレーションしてみることで、書斎の最適な場所も見えてくるんですね。
一方、書斎を趣味のスペースとしても使いたい場合など、秘密基地感を出したい場合や、オシャレな家事スペースのような場所にしたいというケースもあります。
そのような場合、書斎の広さは限られるため、小物の使い方や棚などの作り方で個性を出していくのが基本となります。
そして、そんなインテリアは言葉では伝えにくいものなので、ネットや雑誌などで「コレいいな」と思うものが取っておいて、家の打合せの際は「こんな雰囲気にしたい」と目で見て分かるものを用意しておくと便利です。
このように、書斎は使う人や時間で最適な場所は変わってきますし、作り方も変わってきます。
家の間取りの希望を伝える場合、どのように書斎を使うのか、どんな書斎にしたいのか。
この部分をしっかり伝えることで使いやすくて快適な書斎が作れるようになるんですね。
まとめ
今回は書斎について詳しく見てきました。
書斎は自分で好きに使えるスペースにしたり家族でちょっとした作業ができるスペースにするなど、使い方はいろいろ考えられるので家にあると便利で楽しいものです。
その一方、とりあえず書斎を作ってしまうとほとんど使わない書斎になってしまうというケースもよくあります。
書斎というのは作る目的を明確にしないと、ただのもったいないスペースになってしまう可能性が高いんですね。
そのため、まずはあなたに合った書斎はどのような書斎なのか。
この部分を明確にしておくことが大切なんですね。
書斎は生活のアクセントとなる場所ですし、これからリモートワークが増えてくればより重要な場所となってきます。
ぜひ今回の内容を参考にあなたに合った書斎を作ってくださいね。
では。
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