前回、「吹抜けは寒いかどうか」をアンケートの結果を元に検証しました。結果は、「家の性能が低いと寒く感じるし、性能が良いと寒く感じない」要は家の性能次第という事ですね。
では、吹抜けにはどんな性能が重要なのでしょうか?今回は、吹抜けをつくる時だけでなく、家を造る時必ず覚えていて欲しい性能についてお伝えします。
10種類ある家の性能
家の性能は「住宅性能評価」により、10種類の性能に分類されています。その10種類とは「構造の安定」「火災時の安全」「劣化の軽減」「維持管理更新への配慮」「温熱環境」「空気環境」「光・視環境」「音環境」「高齢者等への配慮」「防犯」の10種類です。
「住宅性能評価」というのは、この10種類の性能に等級をつけていきます。例えば、「構造の安定」は2等級、「火災時の安全」は3等級、「劣化の軽減」は1等級といった感じです。ちなみに、等級は高い方が性能が良くなります。
吹抜けが寒いか寒くないかで大切なのが「温熱環境」。簡単に言うと断熱性能です。この断熱性能の中に家づくりで、ものすごく重要なポイントがあります。
家の性能でものすごく重要な事
断熱性能というと、どの工務店も「断熱材は◯◯を使っています。」という話を必ずします。(断熱材の説明をまったくしない工務店は論外です。)例えば、一般的に一番多く使われているのはグラスウールという断熱材なので、「うちはグラスウールという断熱材を使っています」という話がある訳ですね。グラスウールとはこんな物です。
省エネ住宅ポイントをもらう予定の家はこんなグラスウールを使います。
ただ、一般の方は使っている断熱材が◯◯だと聞いてもイマイチよく分かりません。「熱さ寒さを防ぐための物が入っているんだなぁ」くらいです。営業マンも「この断熱材が〇〇ミリも入っているんであったかいですよ」と言います。だから「まぁ断熱材が入っているから大丈夫だろう」と普通は思います。
営業マンもウソは言っていません。実際現場でも〇〇ミリの断熱材が入っている事でしょう。ただこれで大丈夫なのでしょうか?
次の写真を見て下さい。
柱の間に断熱材であるグラスウールが入っています。さらには換気用のダクトがついているのも分かります。これはグラスウールを使っている一般的な写真ですが、よーく見てください。
ダクトと柱の間を見て下さい。そうです、断熱材が入っていません。
「断熱材を入れる隙間がない」「断熱材が入ってもちょっとしか入らないからいいでしょ」、「指が入らない」などなど理由(言い訳?)はたくさんあげられますが、こういうところが家の断熱性能を左右してきます。
家を建てる人は、夏涼しくて冬暖かいというのが理想の家なはずです。先ほどの営業マンの「断熱材〇〇ミリ入っています」というのは別に何ミリでもいいので、「暖かくなるように家を造ってほしい」というのが本音でしょう。
しっかりした工務店であれば、「〇〇という断熱材を〇〇ミリ使っています」という説明以外に「この断熱材はこういう弱点があります。この弱点をカバーして家の性能をあげるために現場管理に力を入れています」という話が出てきます。こういった工務店、特に現場に力を入れている工務店は信用度が格段に上がります。それだけ、家づくりというのは現場がきちんとした知識と技術を持っていることが重要となります。
反対に、現場に力を入れていない工務店が、誰にも現場を見られる事もなく、建てる数が勝負の建売住宅を造ったらどうなるでしょうか?いくら計算上の断熱性能が良くても、現場での施工がスカスカだと良い家っていうのは出来ないんですね。
私は人が見ていないところも丁寧に仕事をしている工務店が日本の全ての家を造るようになった方が、下手な政策よりもよっぽど省エネに貢献すると思うんですがどうでしょうか?力のある工務店にもっと注目が集まって欲しいものです。
次回は吹抜けをつくったはいいけど、残念な吹抜けになった例をご紹介します。
では。
断熱性能についてはこちらも参考にしてください。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
性能の良い会社とはどういう会社?
- 現場の事を良く知っている会社。
- せっかく良い製品や材料を使っていても、現場の事が分かっていない会社はダメ。
- 現場がしっかりしていることで、使う製品や材料が活きてきます。