家づくり中のみなさん、こんにちは。江戸小紋空間デザインの小林です。
皆さんは大壁(おおかべ)と真壁(しんかべ)という言葉をご存知でしょうか?
この2つは壁という言葉が付くように、家の中の壁のつくり方に違いがあるのですが、大壁か真壁かで家の中の見た目は大きく変わってきます。
今日はそんな大壁、真壁という壁の違いをふまえつつ、それぞれのメリット、デメリットついてご紹介します。
木造住宅の価値は作り方や構造にある
なぜ日本の住宅は木造住宅が主流なのかというと、国土に豊かな森林があり、木材など材料が手軽に手に入ったことが大きいと言われています。
木材は手に入りやすいこともさることながら、軽量で加工などの施工性がよく、自然素材の豊かな材質を楽しめる利点があります(もちろん、耐火性に劣り、腐朽や虫害を受けやすい、狂いや変形を生じやすいなどの短所もありますが)。
日本の住宅建築の主流を占める木造軸組構造(もくぞうじくぐみこうぞう)は在来工法とも呼ばれます。
これは、木材の柱、梁といった軸状の材料をつなぎ合わせて構造体を作る工法です。柱や梁をつなぎ合わせる方法として、継手(つぎて)や仕口(しぐち)といった木材への特殊加工で木材と木材同士をはめ込みながら組み立てるというやり方があります。
そして現在は耐震補強の観点から、継手や仕口加工プラス緊結金物(きんけつかなもの)を使うのが当たり前になってきています。
このように、木造住宅は、材料から構造まで日本の風土や暮らしにあわせた作りなんですね。
そんな中、真壁は木造ならではの壁のつくり方と言えます。
それではまず、真壁について見ていきましょう。
伝統的な壁の構造といえば真壁(しんかべ)
木造軸組構法の中で、特に壁面を構成する骨組みのことを軸組(じくぐみ)と言います。
壁の構造は、内側と外側で仕上げは違うものの、家の基礎から屋根までをつないでいますが、その構造は、柱や筋交い(すじかい)、銅抜き、胴差(どうさし)といった構造によって壁面を構成しています。
木造住宅の壁には、大別すると柱が室内に露出している真壁(しんかべ)づくりと、壁が柱を覆い隠す大壁(おおかべ)があります。そのうち、伝統的な建築は柱が見える真壁づくりと言われています。
真壁と言われてピンとこない方は、こちらの写真の柱にご注目ください。
出典:https://www.sciencehome.jp/case_detail14.html
柱が等間隔のピッチで露出しているのが真壁、露出していないのが大壁ということになります。
「そういえば、うちの実家の和室、柱みえてるわぁ!」ということを思い出す方もいらっしゃいますよね。
和室であったり昔の家は真壁にしていることがよくあります。
そして見える部分の柱も化粧柱といって、露出を意識して仕上げがきれいな柱を使います。
真壁づくりは、大工さんの腕のみせどころといった意味で、日本の木造住宅としてのこだわりがあらわれやすい作り方と言えます。
また、真壁はインテリアに木を見せたい場合に重すぎず軽すぎずの丁度いいバランスで木を見せることができますし、古民家風のインテリアにする場合などは真壁にして柱を濃い色で仕上げると、雰囲気がグッと出てくるのでオススメですよ。
強度、断熱性、遮音性を考えるなら大壁(おおかべ)
柱が見える真壁がある一方、柱が見えない木造住宅もたくさん存在します。
戦後日本の住宅ではボードや合板などで柱を壁内におさめて、柱を覆い隠すようにその表面からクロスや塗装で仕上げるということが多くなりました。
断熱住宅が主流になった今、真壁づくりの部屋は急速に減って来ています。
その大きな理由は、大壁づくりのほうが防火、耐火などに対応しやすいといったことがあげられます。
また、断熱住宅では重要な気密や断熱性能も大壁づくりのほうが高めやすくなります。
壁が造りやすく、壁の厚みも確保できるので、気密性や断熱性能に有利に働きやすいんですね。
その他に大壁の家のメリットを挙げると、壁の中に柱が隠れるようになるのでスッキリした雰囲気の家を造りやすくなることが挙げられます。
また、構造材を壁で覆ってしまうので化粧柱など構造材に良い見た目の物を使う必要がないこと、配線や配管なども壁の中に隠しやすくなるのでコストダウンもしやすくなります。
その一方、壁の中は完全に見えなくなってしまうので、完成時には見えない柱とはいえ材料はチェックしておきたいものですね。
まとめ
それでは本日のまとめです。
- 真壁づくりと大壁づくりの見分け方は、柱が見えているか見えてないかの違い。
- 木造軸組構造が主流の日本の住宅では、壁に構造の柱が露出する真壁づくりが伝統的な工法。
- 強度・断熱性能・遮音性を重視する柱を覆い隠す大壁づくりが現在の住宅の主流。
壁の作り方には大きく分けて真壁と大壁と言う2種類があります。
真壁と大壁の家ではかなり雰囲気は変わってくるので、目指すインテリアに合わせた壁を選んでくださいね。
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