家づくり中のみなさん、こんにちは。江戸小紋空間デザインの小林です。
家の収納を考えるとき、玄関、キッチン、洗面、トイレ、寝室といった建物内で収納を考える際にキャビネット型の収納を考えるケースも多いかと思います。
そこでよく聞かれるのは「どんな種類のキャビネットがいいでしょうか?」という点。
そこで今日は、代表的なキャビネットの形態についてご紹介します。
キャビネットにはいろんな形状がある
一口にキャビネットといってもいろいろな形状がありますが、基本はキャビネットとは箱物家具と言われる箱型の収納家具のことを指します。
形状や作り方によって値段の差も激しいので、値段から決めてしまう方も多くいらっしゃいますが、何十年も毎日のように使うキャビネット。
値段で形状を決めて、いざ新居で使ったら「使いづらかった、別のものにすればもっと便利だったかな」という声もよく聞きます。
使い勝手や収納内容によって家事や生活動線の快適さが変わってきますので、まずは「何をどう使うか」。
この部分を明確にした上でキャビネットを決めるのが、失敗しないキャビネットの選び方となってきます。
代表的なキャビネットの種類
それではまず、代表的なキャビネットの種類について見ていきましょう。
オープンタイプ
出典:https://www.nankaiplywood.co.jp/product/fixus/
扉のついていない、開口のように見えるキャビネット。
扉がついていない分、数あるキャビネットでも最も価格が安い面も魅力的ですね。
キャビネット内にダボと可動棚がついているものもありますので、開口部のサイズにあわせて収納物が自由に決められることや、オープンタイプのキャビネットは「見せる収納」やディスプレイ的なものを収納するのがおすすめです。
ただ、収納物が丸見えになってしまうのと、地震などで中身が飛び出しやすいこと、室内の埃がキャビネットの奥にたまりがちだったり、キャビネットの高さによっては奥のものが取り出しにくいという難点があります。
このため、オープンタイプのキャビネットを購入した方は、別で収納ケースやボックスを用意している方も多くいらっしゃいます。
キャビネットの中でケースやボックスを使う場合、キャビネットの底板をこすりつけるように移動させるため、ケースやボックスによっては、底板が傷ついたり汚れたりするケースが多いので数年経つと塗装された底板がボロボロになってしまったという声も聞きますので、収納ケースやボックスを使う予定の方は素材は柔らかめの物、重さは軽めの物を選んでおきたいですね。
片開き・両開き(観音開き)タイプ
出典:https://sumai.panasonic.jp/search/toilet/?s_series4=on
扉付きのキャビネットには、一枚の扉の片開きタイプと、二枚の扉で両脇に開く両開き(観音開き)タイプがあります。
扉があるので中身をある程度隠せることや、耐震ラッチといって扉の内側に地震などの衝撃時に扉が開かないようにする扉もありますので、キャビネットの中身が飛び出しにくく安全に使えるキャビネットです。
両開きタイプはオープンタイプと同じく中を広く使えることもあり、トイレットペーパーのように「普段は隠しておきたいけれどなるべく大きなスペースを確保しておきたい」ものや食器のような「多種多様な種類がたくさんあって割れる可能性がある陶器や磁器を安全に収納したい」というものにはぴったりです。
ただ、オープンタイプと同様に、ある程度の高さ以上で奥行きがあるキャビネットですと、取り出しにくく段々使わなくなるケースも見受けられるので、必要以上に奥行きがあるキャビネットは避けておきたいですね。
スライドタイプ
出典:http://sumai.panasonic.jp/dressing/l-class_lasys/lineup/cabinettype.html
キャビネット内にレール金具を取り付けて「奥から手前」または「左右」に収納が移動するタイプのキャビネットです。
引出しもこのスライドタイプと言えます。
また、キッチンのカップボード部では、収納庫が上下に昇降するスライドタイプもあります。
重たい収納庫の場合は電動タイプのキャビネットもあるので、力の弱い女性や高齢者にも人気です。
その他、本棚では手前側にレールスライド付きの収納棚を設け、奥行きが浅い文庫本を収納し、奥側に奥行きが深いハードカバーなどを収納し、左右にレールスライドを移動させて奥側のハードカバーを取るといったキャビネットもあります。
また、レールの金具によってはソフトクローズといって、バタンと急激に停止することなくやさしくゆっくりしまるタイプもあるので、食器関係などできるだけ衝撃を与えたくない場合は特に便利です。
特に引き出しタイプは目線より下に設けることが多く、上から引き出し一段の全容を見ることができるので、奥まで収納スペースを活用したい場合には引き出しタイプにすると、物の出し入れがとてもしやすくなります。
ここまで見てきたように、スライドタイプは色んな種類があり、開閉がとても便利で取り出しやすいのが長所で、比較的重量のある収納物を簡単に取り出しできるのが長所ですが、意外とレールの寸法が大きいので、その分収納スペースが小さくなってしまうのが残念。
キャビネットの中では値段も高いことから、便利だと思っても諦める方も多く、予算との兼ね合いになってしまう点はデメリットと言えます。
まとめ
それでは本日のまとめです。
- キャビネットの形状は様々なものがあり形状によって価格の差が出る。
- つい安いものを求めがちだが、使い勝手や収納内容によって家事や生活動線の快適さが変わるため、収納物と使い方から形状を決めていくと良い。
- オープンタイプは「見せる収納」を意識する。また奥のものが取り出しにくく収納ケースによっては棚の底板を傷つけるため注意。
- 地震のダメージを受けやすい食器や隠しておきたい収納には扉付きキャビネットが有効。耐震ラッチの有無も確認する。
- スライドタイプは重量のある収納物を軽く移動させることができるが、レール分収納スペースが小さくなっているので収納物のサイズを確認する。
- 引き出しタイプは引き出しの中の全体を把握することができるので、細々としたものや奥まで収納スペースを活用したいものに向いている。
キャビネットって、ついつい予算をけずりたくなる部分なのですが、家づくりの中でも肝になってくる収納を担うスペースですので、使い勝手の良い仕様の観点から選んでいくと家の完成後の満足度があがります。
キャビネットを賢く選択して、快適な暮らしを設計していきたいものですね。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。