こんにちは、O型建築士です。
今日は読者さんからの質問にお答えしたいと思います。今回は土地についての内容ですね。
希望のエリアに定期借地権付きの土地が出ているのですが、定期借地権付きの土地ってどうなんでしょうか?借地権っていうのが引っ掛かって購入に躊躇してしまいます。
定期借地権のある土地についてのご質問です。
定期借地権って何という方も多いと思いますので、まずは定期借地権について見て行きましょう。
土地探しをしている方はぜひご覧下さい。
それではどうぞ。
登場人物紹介
田中さん:家づくりをはじめたばかりの人。
喜瀬川さん:なぜか建築に詳しい人。田中さんの師匠的存在。
犬山さん:不動産会社をしている人。
どこかで見た光景はコチラ
→地盤改良の費用がいらない、地盤の良い土地の見分け方
土地の情報を見てるんです。どれも良さそうなんで迷っちゃって。
あんまり安い土地には必ず理由があるわよ。ちょっと見せてご覧なさい。
一定期間が過ぎたら、返さないといけない土地のことよ。
借地権とは
土地の権利には大きく分けて2つあるの。所有権と借地権の2つね。
所有権の説明はいいわね。土地が田中君の物になるってことよ。
もう1つの借地権て言うのは、土地を借りる権利のことよ。
田中君が犬山さんから借地権付きの土地を買って家を建てるとこんな感じね。
田中さんが犬山さんから借地権付きの土地を買って家を建てた時の図
犬山さんの土地を借りて、ボクが家を建てると言う訳ですね。
定期借地権のメリットとデメリット
1番の違いは、借地権は契約の更新ができて、定期借地権は契約の更新ができないことね。
例えば、定期借地権の契約期間が50年間だったら、50年後に更地にして土地を返さないといけないの。
更地ってことは家を取り壊さないといけないんですか?
そうね。しかも更地にする費用は、田中君が出さないといけないのよ。
あとは、使える住宅ローンも限られるから、住宅ローンには注意が必要ね。
定期借地権って、いい事ないイメージができそうです・・。
日本人は、土地は自分の物にして一人前って考え方が強いから、定期借地権や借地権に抵抗がある人は多いわね。でも、工場を建てたりする事業用の土地なんかは借地権が多く使われているから、世の中では借地権っていうのは多く出回っているのよ。
そうなんですか。定期借地権に何かメリットはありますか?
定期借地権の一番のメリットは、土地の価格が安いことね。すごく立地が良くて普通だと買えないような土地が格安で出ている事もあるわね。
あと、地代を毎月払う必要がある変わりに、土地の固定資産税は払う必要はないわ。まぁ地代と固定資産税でトントンと言ったところかしら。
定期借地権のメリット、デメリットをまとめるとこんな感じね。
定期借地権のメリット
- 土地の価格が安く、立地の良い土地も出てくる。
- 相続、転売、賃貸も可能。
- 土地の固定資産税はいらない。
定期借地権のデメリット
- 契約を更新できない。
- 契約終了時に更地にもどす必要がある。
- ローンに制約がある。
- 地代が必要。
定期借地権の土地に家を建てる人はどんな人が向いてるんですか?
例えば、財産を残す必要がない人なんかは定期借地権の土地が向いていると言えるわね。子供や孫に土地や家を残す必要が無いから、自分たちが住む間、安い価格で家を建てられるのが魅力ね。
あとはある程度、歳をとった人にも向いているわね。50歳で家を建てたとしても、契約が切れるのは最低でも50年後の100歳の時になるわ。100歳だと生きているかどうかも分からないし、その時は施設に移るって方法もあるわね。
あとは、立地を凄く優先する人とか、お金をかけずに家を建てたい人なんかが向いているわね。
なるほど〜。反対に定期借地権が向いてない人ってどんな人ですか?
土地を子供や孫に残したいと思っている人ね。借地権が切れたら何も残らないから。土地代が安い分、お金は貯まってるかも知れなけどね。
あとは、あんまり若い人には向いてないかもしれないわね。25歳で家を建てても75歳で出て行かないといけないから、将来的な不安は残るわ。契約が切れる時期が中途半端と言えるわね。
そうなんですね。定期借地権について良くわかりました。う〜ん、この土地はどうしようかなぁ。
意外に盲点なのが、普通の借地権の土地よ。地主さんが土地を売却したいって時は真っ先に声をかけてくれるから、住んでから土地を買うかどうか判断できる可能性もあるわね。正当な理由がない限り、契約が切れても更新できるから、初期費用を安く家を建てるなら有りと言えるわね。
じゃあ、幅広く土地を探した方がいいですね。犬山さん、今後ともよろしくお願いします。
まとめ
定期借地権の土地を検討する場合、土地を購入した場合と定期借地権の土地を購入した場合をシミュレーションしてみる事をおススメします。
定期借地権は土地が安い分、ローンの支払いが少なくなります。その少なくなった金額と、50年後の土地の金額、どちらが多いかで金銭的なメリット、デメリットは比べる事ができます。(50年後の土地の価格はおそらく安くなっています。お金はインフレ傾向になっていると思いますが、こればっかりは50年後になってみないと分かりませんね。)
あとは、家に対する考え方の違いです。「家はずっと1カ所に住むと言う考え方」なのか、「家は移り住むものという考え方」なのかですね。
前者の方は定期借地権は向きませんし、後者の方は定期借地権が向いていると言えます。
もし、希望の地域で定期借地権の土地が出ていたら、自分に合うか合わないか一度考えてみると、選択肢が広がりますよ。
では。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→まるで教科書!理想の家をつくる方法【絶対保存版】
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
定期借地権の土地ってどんな土地?
- 定期借地権があると土地を安く手に入れる事ができる。
- 契約期間が過ぎると、更地にして返さないといけない。
- 契約期間は50年以上で設定される。
- 権利の相続や転売等も可能。
- 地代は必要だが、固定資産税はいらない。
- 住宅ローンに制約がある場合がある。
- 定期借地権の土地は、家に対する考え方で合う人、合わない人がいる。