家づくり中のみなさま、こんにちは。ed-commons(江戸小紋)小林です。
先日、家の内装の打ち合わせで、ニッチの活用方法について教えてくださいという質問をいただきました。
そこで今日はニッチの活用アイデアについてご紹介していきます。
ニッチの特徴
ニッチとは、もともとは隙間やくぼみという意味で、建築では壁の一部を凹ませて飾り棚や収納にしたものを指します。
飾り棚を設置すると、壁面から数センチ〜数十センチ出っ張りますが、ニッチは壁をくぼませて作るために出っ張りがほとんどなく、場所を取らずにちょっとしたスペースづくりができることからご要望の多いものでもあります。
飾り棚として作る場合は、ニッチの中にダウンライトや間接照明を入れたり、コンセントを入れたりすることも多いですね。
収納目的で作る場合は、中にポールを入れてS字フックをいくつか吊るしたり、扉をつけて中を見せないようにしたり、可動棚を入れて有効活用を意識した作り方をすることもあります。
また、ニッチの底面を下台といいますが、下台を古材のような味わいのある板にしたり、壁紙をまいて壁に同化させるようなデザインにしたり、同じような形のニッチでも下台の素材やデザインで印象が異なります。
その他に、ニッチの中の棚をガラス板やアクリル板にしてディスプレイをゴージャスに見せたり、ニッチの正面壁にタイルを貼ったりコルクボードを貼ったりすることで、オリジナル感が高まります。
このように、ニッチは作り方次第でいろんな見せ方ができるんですね。
それでは次に、ニッチのメリットについて見てみましょう。
ニッチのメリット
ニッチの代表的なメリットとしては、
- 出っ張りが少なく、室内を広く使える
- 存在だけでおしゃれ感アップ
- オリジナル性が非常に高い
といった事が挙げられます。
なんといってもニッチの良いところは、壁を凹ませて作るために空間への圧迫感が少ないところですね。
また、階段や廊下などの空間に縦長の細長いニッチを連続して作り、中にミニダウンライトをいれたことがありますが、何かを飾らなくてもニッチの存在だけで十分おしゃれ感がアップして素敵です。
このように、存在だけでオリジナル感が出るのも嬉しいですね。
ニッチのデメリット
ニッチにはメリットもある反面、反対にデメリットもあります。
- 壁厚以上の奥行きは作れない
- 外壁面に接している壁や耐力壁には作れない
- 飾る内容によっては地震対策が必要なものも
このあたりがニッチのデメリットとなってきます。
ニッチを作る際に大事なのは壁の厚さ。
そのため奥行きが欲しいニッチを作る際に、わざと壁の厚みを厚くすることもあります。
場合によっては通路幅が狭くなったり、壁を厚くすることによって圧迫感が出たりということもありますので、作ろうとしているニッチの場所の壁の厚さや、そもそもここに作ってOKか?の確認も大切です。
というのは、外壁面に接している壁だと断熱材が入っていますので、壁を凹ませてつくるわけにはいかず、また、耐力壁といって構造上家を支えている壁面は凹ませることで薄くなり役割を果たせなくなるため、ニッチを作りたい場所の壁がどういう役割をになっている壁面かどうか、設計士さんにチェックしてもらうことがとても大事です。
また、飾りたいものにもよりますが、花瓶や陶器などの小物をディスプレイした場合、地震などで小物が転倒し、床に落ちて割れてしまうなんていうことも可能性として出てきます。
ディスプレイした時に滑り止めなどのシートを貼って、ある程度の揺れでも小物類が転がったり落ちたりしないよう対策することが大切なんですね。
その他に、ニッチを作れる場所があるからと言って沢山ニッチを作ってしまうと、家の中がうるさく見えてしまう可能性が高くなってしまうので、ニッチをつくる時は程よいバランスで作るのが重要になってきます。
ニッチの活用アイデア
それでは、実際によくご要望のあがる、ニッチの活用アイデアをご紹介していきたいと思います。
ディスプレイ棚
ご要望が多いのは、ディスプレイとしてのニッチ玄関、廊下、階段、リビング、寝室、など、設置場所も多岐に渡ります。
LEDのミニダウンライトを入れて華やかにしたり、コンセントを入れてミニクリスマスツリーを飾るという手法も人気です。
また、何かを飾らずに正面壁にタイルを貼ったりという方法もあります。
おしゃれな壁紙に変えたり、素材を変えたりして素敵なニッチを作ってみるのも楽しいですね。
スイッチやリモコンのコントロールセンター
リビングやキッチンなど、スイッチやリモコンが集中する場所の壁を少し凹ませて、リモコンなどのでっぱりをスッキリさせるという手法も有効です。
特にインターホンなどはかなり出っ張りがあるので、ニッチの中に設置すれば誤ってインターホンの角に体をぶつけてしまったという事態も避けることができます。。
キッチンやダイニング空間では、給湯器のリモコンやインターホンのモニタ画面付き子機など、少し大きめのリモコン機器が集まってきますので、室内の壁やキッチン裏の壁など、操作しやすい場所と高さにニッチを設けたいですね。
マガジンラック
子供用の絵本や雑誌類、料理本やレシピブックを保管しておくマガジンラック用のニッチを作って欲しいというご要望もあります。
これはキッチンやトイレ内に作ることが多いのですが、中の雑誌類が落下しないようニッチにポールを渡して中の雑誌類をディスプレイするように収納するので、さほど多くの冊子は収納できません。
でも、さっと取り出して使えたり、まとめて保管できるので、おしゃれで実用的だという感想も多くいただきます。
「我が家にもぜひ導入したい!」という声が多く聞かれ、また実際に採用される確率が高いのもこのマガジンラックニッチです。
トイレ収納
トイレで必ず検討するのが「トイレの収納」。
トイレットペーパーの備品や、掃除用具の収納など、意外と多くの収納量が必要な空間です。
元々コンパクトな空間なトイレですが、階段下だったり、小さめのサイズのトイレだったりすると、収納スペースがかなり限定されます。
この場合は、普通にニッチを作ってもいいですが、既製品の建材でトイレ用収納棚のニッチを入れたり、収納と手洗い器が一体化した小型洗面台を壁の中に設置して出っ張り面がなるべくない形でのコンパクトな収納を作ったりもできます。
ただし、住宅用トイレは、外壁面に接していることが多く、外壁面に接している壁面は凹ませたりすることができませんので注意が必要です。
出典:http://www.woodone.co.jp/product/storage/wall/
洗面収納
洗面化粧台付近は、住宅の中でも特に細々とした収納が必要とされるエリアです。
既製品の洗面化粧台の多くは、鏡の裏に収納がついていたり、洗面台下に収納がついているケースがありますが、洗面化粧台は洗面室の角に設置することが多く、左右どちらかが壁に設置していることがほとんどですので、その壁を凹ませて収納用ニッチを作るケースも多くあります。
歯ブラシスタンドや整髪用スプレー、メイク用品、ドライヤー、タオル掛けなど用途も様々です。
出典:https://www.nankaiplywood.co.jp/product/sanita/
黒板やコルクボード
リビング、ダイニング、子供部屋など、ニッチを作ってその中に黒板やコルクボードを入れるという作り方も人気です。
特に黒板を導入するときは、チョークの粉が床に落ちたり、黒板消しをどこに保管するかなどの問題がありますので、すっきりきれいに使えるので壁を凹ませて作ると掃除も楽になります。
また、お子さんが遊ぶ用に作るときは、高さを低めに設定しますが、学校からのプリントを貼っておいたり、家族の伝言などを書いておくような使い方をする場合には、家族の目線の高さにあわせると使いやすいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
一口にニッチといっても、その使い方や形は実に様々です。
また造作として作る場合やメーカーの既製品を入れる場合など、設置の仕方も様々です。
あなたの暮らしに合ったニッチを作って、素敵で快適な家づくりを目指してみてくださいね。
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