みなさんこんにちは。ed-commons小林です。
日差しは少しずつ長く強くなってきているようですが、まだまだ空気が冷たいですね。
現場打ち合わせの時はお客様への差し入れのホッカイロが欠かせない季節です。
家づくりをしている多くの皆さんが、打ち合わせの際、数ある選択肢の中で迷われる2大要素があります。
それは「色」と「素材」。
今日は家づくりにおいて非常に大事な「色」についてお話しします。
色の知識を手に入れると、家づくりだけでなく、いろんな所で役立ちますよ。
配色バランスは最重要
皆さん、「なんとなくコレ」とか「適当に・・」で壁や床の色を選んでいませんか?
その時はいいなと思ったけれど、いざ家が建ってみると、イメージが違う、アレこんな色を選んだっけ?
という声を聞く事があります。
せっかくの家づくりですから、意味のある、そしてこだわりのある色選びをしたいですよね。
そこで、私が色決めの打ち合わせをする前に必ずお客様にお伝えしている事、それは「配色バランス」についてです。
内装で仕様を決める必要があるのは、床、壁、天井、建具(ドア)、幅木、窓枠・・といったところですね。
中には、照明器具やコンセントなども選ぶこともあるかもしれません。
(幅木って何?というかたはこちらを参考にしてください)
室内のインテリアを100としてみた場合、床、壁、天井等の、建築で作る部分は全体の約70%程度と言われています。
あとの30%はといいますと、ソファやベッドなどの家具が25%、そして残り5%をクッションカバーや植物、照明器具など。
この70%、25%、5%(だいたいで構いません)に色をまとめるのがステキな配色バランスの割合と言われています。
そして、カラーやインテリアの業界では、
70%をベースカラー(基本色)
25%をアソートカラー(類似色または対比色)
5%をアクセントカラー(強調色)
と呼びます。
例えば、この部屋はどうでしょう。
全体を約70%が床、壁、天井、窓で、約25%がベッドや家具家電で、あとの残りがクッションやカーテンのタッセル(カーテンをまとめている紐)、そしてアート等で構成されています。
建築で作られている部分(床や壁など)の色は、白、茶、焦げ茶ですね。
そして家具やカーテン等、後で揃えたインテリアの配色としては、「白(ベース)、黒(アソート)、赤(アクセント)」がメインのイタリアンモダンです。
室内をまとまりのある空間にするには、ベースの部分は1〜3色までにまとめておくと良いです。
いわゆる「多色配色」の空間については、また改めてお話したいと思います。
話を元に戻すと、皆さんがこれから打ち合わせを行う床、壁、天井、建具、幅木、窓枠・・は、室内の全体の70%を締める大きな要素だということがお分かりいただけたかと思います。
家具やカーテンは比較的簡単に取り替えができますが、建築部分ですとなかなか難しいものがあります。
色のマジックを使って空間を作るコツ
それでは次に、色を使って実際に空間づくりのコツをお伝えしたいと思いますが、ここで非常に大事なことをお伝えします。
それは、「色には人の心理作用に働きかける、不思議な効果がある」ということ。
例えば、自然の中野緑の木々を見ると気持ちがリラックスしたり、ピンク色の服や小物を沢山集めて満足している女の子もいますし(実際ピンクは女性ホルモンなどの分泌を促す色なのです)イエローやオレンジ色はビタミンカラーと言われており、見ているだけで明るい気持ちになりますよね。
オレンジ色でも、夕焼けや夕日に近い色などは、心無しか少し寂しい気持ち、センチメンタルな気持ちにさせられます。
もうお分かりですね。
そうなんです、色には、感情や感覚に訴えてくる効果があるんです。
だからこそ、色を知って効果的に取り入れる事で「この場所は○○の気分で過ごしたい」夢が叶えることができます。
色サンプルを使いこなそう
打ち合わせの際、数センチの小さな色サンプルをいくつか見せられて「この中から選んでください」と言われた事があるかと思います。
でも、これ!と思って決めた色なのに・・現場で「あれ?ちょっと違う?もっと濃かったはずだけど・・」と思う人が続出します。
なぜかというと、色の面積的効果というマジックにひっかかってしまっているんんですね。
これを見てください。
どちらが濃く見えますか?
実は両方とも、同じ色なんです。
でも、見た目は大きな方が少し薄く見えませんか?
これが、色の面積的効果というマジック。
同じ色でも面積によって見え方が違うんですね。
皆さんが打ち合わせで見たのは、小さな小さなサンプル。
でも、実際は、もっともっと大きな壁だったり床だったり。
サイズが違うのだから、色が違って見えて当たり前なんです。
でも、、それでは本当にこの色でよいか、困ってしまいますよね。
実際に打ち合わせで巨大な壁を作ってみるなんて難しいですし。
しかも、日の光の差し込み方は家それぞれ違うので、光の当たった具合も違います。
だから思い出してほしいんです。
「このサンプルの色より、実際はもう少し薄い色になる」ということを。
このマジックをわかっていれば、ある程度は仕上がりの予想がつきます。
そして、できるだけ大きめのサンプルを取り寄せておきましょう。
特に、1部分だけ色を変えてアクセント壁を作りたいとき。
薄く色違いをしても、実際はほぼ同じ色に見えてしまいます。
実際に、参考例をご紹介しましょう。
下の薄いグリーンの色を・・、
右端の壁にこのアクセント色をつけてみました。
どうでしょう。
もともと薄いグリーンが、壁となるとさらに薄く感じられたと思います。
アクセント壁を作る場合、もっと濃くはっきりした色違いを選ぶか、違うデザインを選んでみると、アクセントがより映えるのでオススメですよ。
空間を広く感じさせる方法
またまた質問です。
どちらの部屋が奥行き感がありますか?
知っておきたい色のマジック第2弾、それは、「進出色と後退色」です。
同じ位置にあっても、
進出色→一歩前に飛び出してくるようにみえる色(暖色系・高彩度)
後退色→一歩後ろに下がっているようにみえる色(寒色系・低彩度)
このような違いがあるんですね。
ところで、色にまつわる話でほとんどのお客様が「へぇ〜!」と驚かれる話があるのですが、この看板を見てください。
そして、この色の組み合わせで思い出される自然界の生物といえば・・
ひぃぃ・・見るだけでぞっとします(お気分を悪くされたらすみません)。
ところで、両方に共通する「意味」はなんでしょう?
「危険」
近づいたら危ないですよ、危険ですよ、という意味です。
自らが相手に、こちらに近寄るなと警告しています。
危険を知らせるため、すぐに目に飛び込んでくる黄と黒の組み合わせを使って派手にアピールしているのです。
そう、すぐに目に飛び込んでくる色=進出色 の組み合わせなんですね。
逆に、後退色というのは寒々しく、暗く、くすんだ色で、グレーやブルーなどをイメージしてみてください。
実際に、事故に遭遇しやすい車のボディーカラーは、目立たない後退色が多いと言われています。
ちょっと話が脱線してしまいましたね。
つまり、内装では、進出色と後退色という色のマジックを使うことで、空間感覚をコントロールすることが可能です。
単に遠近感だけでなく、空間そのものを広く見せたり、タイトに見せたりすることができます。
特に、リビングなど人が多く集まる空間には、空間を明るく広く見せる白系を使うことをお勧めします。
そして広々スペースが取りずらいトイレの壁紙は、後退色の組み合わせでちょっとでも空間が広く感じられるようにしてみると、圧迫感が出にくくなります。
部屋を明るく温かく感じさせる方法
第3のマジック、実は色というのは、体感温度を変える効果を持っています。
同じ間取りの部屋を2つ用意し、壁紙や天井を暖色のピンクにした部屋と、他方を真っ青なブルーにして実験した際、
明らかに室内にいた人の体感温度が1〜3℃変わったことが報告されています。
そう、部屋を、明るく温かく感じさせるには、床、壁、天井を暖色系や彩度の高い色を使うことをお勧めしています。
暖色系の色は、太陽や火を暗示させ、心理的に温かみを感じるようになっています。
逆に、寒色系の色は、寒くひんやりした印象を与えます
冷えピタや保冷剤は、寒色系のブルーを使って、見た目からもひんやり感を出していますね。
また、なぜホッカイロは赤やオレンジ色を使っているのかも・・もうおわかりですね。
色の効果を知って意味のある空間を作ろう
さて、いくつかの色の心理効果について説明してきましたが、多くの日本人が共通して感じる
色の効果についてご紹介いたします。
- 赤 : 積極的な気分、パワーを生み出す。食欲増進効果。暖かさを感じる。
- ピンク : 幸福感や安らぎを与えてくれる。
- オレンジ : 陽気な気持ち、活発な気持ちになる。恐怖やプレッシャーなど心の不安を取り除く効果も。
- 黄色 : 楽しい気持ちになる。知性を高め、頭の回転が早くなる。
- 緑 : 森や自然を思い起こさせ心をリラックスできる。目を安めリフレッシュできる効果。
- 青 : 心が落ち着き、冷静な判断力を導きだす。爽やかなイメージの反面、寒々しく感じる色も。
- 黒 : 強さや権威、神秘的なイメージ。高級感。実際のものより、重く、圧迫感を感じさせる。他の色より負のイメージが強い。
- 白 : 光を反射させる最も明るい色。信頼感、清潔感などのクリーンなイメージ。実際のものより、軽く、広く感じさせる。
色の効果の話をすると、
「落ち着きの無いお子さんの勉強部屋のアクセントにはブルーを使って集中させよう」とか、
「トイレはリフレッシュの意味をこめて、緑色の葉っぱ柄の壁紙を使いたい(もちろんオシャレな物で)」など、
「この空間はこのように使いたいからこの色にしたい」というご要望が聞けますし、
何より「なんとなく色を決めた空間」が「意味のある空間」に変わって行くのを何度も見てきました。
そのように決めた内装空間は、例えば10年後にお子さんから「この青は好きじゃないんだけどなんでこの色にしたの?」と言われたときに、
「う〜ん、なんでだっけ?」「なんとなく・・」にならず「気持ちが落ち着いて勉強がはかどる為だよ」と答えがある空間にもなります。
まとめ
それではまとめです。
1:室内をみたとき、床、壁、天井は全体の70%を締めるベースカラーとなる。
2:まとまりのある空間にするには、ベースカラーは1〜3色程度にまとめると良い。
3:色には人の心理作用に働きかける不思議な効果があり、それらを使って「意味のある空間」を作る
- 第1のマジック「サンプルサイズの色の方が濃く感じる(色の面積的効果)」
- 第2のマジック「色を使って空間を広くみせたりタイトにみせたりできる(進出色と後退色)」
- 第3のマジック「色で体感温度をコントロールすることができる(暖色系と寒色系)」
- 第4のマジック「色ごとにもっている心理効果をインテリアに活かす」
色を使ってのインテリアのお話は、非常に奥が深く、私自身もお客様に何回かにわけて説明することが多いジャンルですので、また今後もお伝えしていきますね。
10年後、20年後もずっと満足しているような部屋づくりをしてくださいね。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。