こんにちは。ed-commonsの小林です。
最近打ち合わせをしていると「新居のキッチンではIHを使います」という方がかなり増えて来ているように感じます。
これは、採用する給湯システムが、ガスやエコキュートやエネファーム等、どの給湯システムを選ぶかにも関係しますが
今までガスコンロを使われていた方でIHクッキングヒーターに変えるという方は、ガスコンロとの違いというものをご存知でしょうか。
今日は、「これからIHを使います」という方や「IHクッキングヒーターってどうなの?」と迷われている方に、アドバイスをお伝えしますね。
IHって何?
IHの仕組み
ところで、IHって、何の略かご存知でしょうか?
IHとは、Induction Heatingの略で、日本語で言うと電磁誘導加熱の事です。
磁力発生コイルから発生した磁力線が鍋底を通過する時に電流がうず状に流れます。
その電気抵抗によって、鍋自体が発熱する仕組みのことを言います。
出典:https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/ih/useful.html
IHクッキングヒーターの特長
それでは、IHクッキングヒーターの特長についてみていきましょう。
出典:http://sumai.panasonic.jp/kitchen/living-station/feature/01range.html
まず、一般的なシステムキッチンのビルトイン型IHクッキングヒーターですとヒーターの口は手前に2口、奥に1口の合計3口あります。
一部のメーカーからは、横一列に3口並んでいる機種も出ています。
大抵は、手前2口がIHクッキングヒーターで、奥の1口をラジエントヒーターにするかこちらもIHヒーターにするかで値段が変わってきます。
(ラジエントヒーターについては後ほど説明しますね)
トロ火から強火まで、簡単に火力(火ではありませんが)を調節可能
細かな温度調節ができますので、煮る、炒める、揚げる、茹でるが簡単に行えます。
ガスに比べると非常に熱効率がよいため、省エネともいえます。
「火に比べると弱いんじゃない?」とよく質問されるIHクッキングヒーターの火力ですが、200Vの2kWのIHクッキングヒーターはガスコンロの4000kcal/h、4.65kWに相当すると言われ、ガスコンロの高カロリー大バーナーと同等のパワーを持ちます。
安全に調理ができる
直接火が見えない分、安全面を考慮した機種も多いです。
- 温度過昇防止機能 → 鍋が一定の温度以上に高温に達した場合加熱が停止します。温度が下がると自動的に再加熱します。
- 鍋なし検知 → 鍋がIHクッキングヒーターに乗っていない時やIH用の鍋ではない場合、警告音やランプで知らせてくれます。
- 切り忘れ防止機能 → 火がついていないのでうっかり切り忘れた場合、一定時間後に自動的に電源が切れます。長時間の調理の際はタイマー機能を使うといいですね。
- 小物検知機能 → ナイフやお玉などの小物をうっかりIHクッキングヒーター上に乗せても加熱しないようにできています。また、お子様がいたずらしないようチャイルドロック等の機能がついている機種もあります。
見た目がすっきり、お手入れらくちん
ガスコンロのように発火で加熱せず、IHクッキングヒーターに直接鍋を乗せて調理しますので鍋底のススも発生せず
またガスの燃焼による空気の汚れもありません。
ガスコンロの五徳のようなでっぱりもなくすっきりとお掃除しやいため、お掃除が楽です。
IHクッキングヒーターは、ガスクッキングの事故に多く見られる不完全燃焼や酸欠などがないのですが、火を使わないからこそ「うっかり事故」も起きやすいと言われています。
そのため、IHクッキングヒーター自体にこうした便利で安全な機能を付けているんですね。
IHと電磁波
「IHは便利なのはわかった、でも電磁波は大丈夫なの?」こちらもよく聞かれる質問です。
電磁波というのは電気を使う製品はもちろん、自然界では太陽光線から、またテレビの放送波なども電磁波です。
電磁調理機器という名前がついているので心配される方もいらっしゃいますが、下記の電磁波の種類を見ると、IH機器は家電の中でダントツに電磁波の周波数が高いわけではないということがお分かりいただけると思います。
出典:日本電機工業会ホームページ「家電製品と電磁波Q&A」より
ちなみに、家電の中でのIHクッキングヒーターの電磁派レベルは下記の測定値が出ています。
(参考) 家電製品から発せられる電磁波測定結果(代表製品)/製品別ICNIRPガイドライン(2010)値に対する測定結果
[出典]一般財団法人 家電製品協会「平成25年度家電製品から発せられる電磁波測定(10Hz~400kHz)調査」
IHクッキングヒーターから生じる電磁波は他の家電製品と同じレベルにありますので、安心してお使いいただけることがおわかりいただけると思います。
IHにした場合の電気代
次に、IHにした時の気になる電気代についてお伝えしますね。
電力自由化により今まで住んでいる地域で決められていた電力会社だけでなく様々な業界の企業が電力の販売を始め、自由に選べる時代となりました。
このため電気代については一概には言えないのが正直なところです。
電気を使用する時間帯によって基本料金が異なってきますので、今後は家に住む家族がどの時間帯に電気を多く使うのかを考え、電力会社を選ぶことが求められてきます。
特に、IHクッキングヒーターは、利用する電気料金プランによって、調理する時間帯で大きく異なります。
下記に電気料金プランシミュレーションをご案内しますので、一度チェックしてみるのもいいですね。
IHクッキングヒーターを使う際の注意点
便利、安全なIHクッキングヒーターですが、使用方法でガスとは違う注意点がいくつかあります。
一つずつ見て行きましょう。
ガスとは火の通り方が違う
なんといっても、火を使わずに鍋底自体を加熱する仕組みですので、鍋の中の熱伝導の仕方が異なります。
使い方にコツがありますので、注意して下さいね。
ガスよりもIHクッキングヒーターの方が短い時間でお湯を湧かすことができると言われていますが、沸き立ちが強く激しいので、茹でる際は、鍋の中が沸騰したらすぐにヒーターを切るか、火力を下げてください。
煮物の場合は鍋底の温度がとても高くなるので、時折かき混ぜて焦げ付かないようにするのがポイントです。
煮る、茹でるの際はタイマーを使うことをお勧めします。
炒め物は、ガスの場合、鍋はだを最初予熱で十分熱してから野菜や肉を入れるのが一般的ですが、IHクッキングヒーターの場合、鍋底の温度が強すぎて卵焼きや炒め物が焦げ付いてしまったという声も多く聞かれます。
製品によっては「予熱はしないでください」という表記もあるくらいですので、予熱しすぎには気をつけてくださいね。
フライパンは前後に動かしながら中の材料を混ぜるようにすると、高火力&短時間で焦げ付かずに調理できます。
揚げ物は、必ず、IHクッキングヒーター付属の天ぷら鍋(もしくは感温天ぷら鍋)を使うことをお勧めします。
油量は多めにし、一度に揚げる量は、油の表面積の半分程度の量を目安にしてください。
安全の為にも、材料の水分は必ず拭き取る、鍋の中に揚げ残しを残さないようにする等して、調理中の破裂を防ぎましょうね。
また、汁物などを温め直す場合は、鍋底に沈殿物をつくらないようお玉でよくかき混ぜて温めます。
鍋底に沈殿物が付着したまま温めると、熱しすぎて突然吹きこぼれたりして火傷の原因になります。
IHクッキングヒーター専用の調理器具が必要
この話を打ち合わせ中にすると、途端に不安になる方が続出します。
・・そうなんです。IHクッキングヒーターには、使える鍋と使えない鍋というのが存在します。
お手持ちの鍋がIHクッキングヒーターに対応しているかどうかは、こちらで確認してみてください。
<IHクッキングヒーターで使える鍋>
鉄製・鉄鋳製
鉄ホーロー
ステンレス ※18-8,18-10は火力が弱い場合があるので注意
また、お手持ちの鍋またはこれから買う鍋にIH対応を示す「財団法人製品安全協会マーク」がついているかを確認してみることをおすすめします。
<IHクッキングヒーターで使えない鍋>
耐熱ガラス製
陶磁器製
銅製
アルミ製
※IHで加熱できると記載されているガラスや土鍋等の陶磁器製でもIHクッキングヒーターの天板(トッププレートと言います)を傷つけたり故障の原因になるので使わないようにしてくださいね。
また、鍋底自体の大きさも重要で、底径が12cm以上の物でないと鍋が熱伝導に反応しないので注意が必要です。
その他、形状的に使えない物は、
「鍋底に反りがある鍋」
「鍋底に足がある鍋」
「鍋底が丸い鍋」
です。要するに、鍋底のIH接地面積が少なく熱伝導がしにくい鍋はIHクッキングヒーターには不向きなんですね。
結構使えない鍋、ありませんか?
中には「我が家は全部買い替えないと・・」という方もいらっしゃいます。
ただ、我が家の鍋は使えないのか・・と嘆く前に検討いただきたいのが、オールメタルタイプのIH。
オールメタル、つまり「(ほとんど)全ての鍋」に対応しているのがオールメタルなんです。
オールメタルタイプは普通のIHクッキングヒーターより値段はあがりますが、鉄やステンレス製の鍋だけでなくアルミや銅鍋、ステンレス多層鍋も使えるんです。
ちなみに、オールメタルのIHクッキングヒーターには、ダブルオールメタルとシングルオールメタルがあります。
- シングルオールメタル → 3口あるIHのうち、手前のヒーターのどちらかがオールメタル対応
- ダブルオールメタル → 3口あるIHのうち、手前のヒーター両方がオールメタル対応ヒーター
あれ?「オールってことは3口全部じゃないの?」と戸惑う方もいらっしゃるので気をつけてください。
ただし、アルミや銅鍋は、他の鍋に比べて消費電力も大きいので注意してくださいね。
また、先ほどちらりと登場した「ラジエントヒーター」でも、アルミや銅鍋が使えます。
ラジエントヒーターとは、IHと違い、トッププレートの下にニクロム線が埋め込んであり、このニクロム線が発熱体となって鍋に温度を伝えるシステムです。
そのため、IHでは加熱できない鍋が使えるのですが、使用中は大変高熱を発し、しかも熱効率はIHに比べて悪いです。
そして、ラジエントヒーターの火力は弱いため、湯を沸騰させるレベルの火力はありません。
出来上がった味噌汁の鍋を保温しておくとか、海苔をあぶるような使い方になります。
魚焼き器や網も、魚などが調理中に落ちてトッププレートに焼き付き焦げる恐れがあるため使えないので注意が必要です。
まとめ
それでは本日のまとめです。
- IHクッキングヒーターは、ガスに比べて安全でお手入れらくちん
- IHクッキングヒーターには使える鍋と使えない鍋がある
- 電力自由化以降は、使用電気は時間帯等を把握し電気代をシミュレーションしておくべし
そして、当たり前の事なのですが、停電時やブレーカーが落ちている時には使えないのでご注意下さいね。
正しいIHクッキングヒーターの知識で、安全に快適にIHキッチンライフを楽しんでいきましょうね。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。