よもやま話

マンション傾斜問題から見る、注文住宅を建てる価値

ここ最近、「傾きマンション問題」についてのニュースを毎日見かけます。

旭化成は鬼怒川の流されなかった家で名前を上げましたが、一気に信用が失墜してしまいました。

鬼怒川決壊で有名になった住宅会社の話

 

杭データの偽装に関してはまだ真相が分からないので深くは話しませんが、今回の事件でマンションについて再認識ことがあります。

 

それは、マンションという物は名前も顔も知らない、さらには考え方もバラバラの人が同じ建物の中で暮らしているということです。今ではマンションに住む人の国籍も多様化してきています。

そしてそれは、かなりのリスクになる可能性が高いということです。

マンションを建替えるということ

ビルと親子

今回、三井不動産は一律の慰謝料とマンションの買い取り、そして建替えという提案を行いました。

ただ、マンションを建替えるにはかなりのハードルがあります。

マンションを建替えるには区分所有者の4/5の賛成が必要となってくるからです。

8割の人が建替えに賛成しないとマンションって建替えができないんですね。

 

パークシティLALA横浜の総戸数は705戸。

三井不動産がいくら「建替えます」と言っても、管理組合の総会で564議決権以上の賛成がないと建替えることができません。

「じゃあ、賛成票を集めればいいじゃないか」となりますが、同じ考えの人はどれくらいいるでしょうか。

 

705戸と言っても、住んでいるのは一人ではありません。

まずは各家庭で建替えに賛成か反対かの家族会議を行い、意見をまとめる必要があります。

さらには、別にうちの棟はマンションが傾いている訳ではないから引越すのがイヤとか面倒と考える人も当然いますし、それ相応の引越し先が見つからないなら今のまま住み続けるという人もいます。

また、三井不動産が買い取ったマンションは建替え賛成に1票ということになりますが、三井不動産の買い取り価格に不満を感じる人は価格交渉がまとまらない限り売却する可能性は低くなり、かといって個別に高い金額を提示したのが分かれば他の住人の不満が爆発して揉めに揉めまくる可能性もあるので簡単にお金で片付けられる話でもありません。

極端な話をすれば、8割の賛成を得たとしても、頑に「出て行かない」という人が出てくる可能性もあります。

ようは、全員が退去しないと建替えができないんですね。

もうメチャクチャ大変な作業がこれから始まります。

 

気の遠くなるようなマンションの建替えですが、パークシティLALA横浜の場合はマンションに欠陥があるので建替えるという大義名分があります。

それでもこれだけ大変な作業が必要になるのに、今普通に建っているマンションが老朽化したので建替えるなんていうのは、よほど優秀でまとまりのある管理組合がない限り不可能に近い話です。

ましてや規模が大きくなればなる程、意見を取りまとめるのは難しくなります。

それだけ、マンションには多様な考え方の人が暮らしているんですね。

 

このようにマンションは自分の物でありながら、同じマンションに住む人の影響を多分に受ける居住方法です。

それが嫌ならマンションを出て行くことになり、代わりに別の人がマンションに入ってきます。

こうしてマンションに住む人は代わっていきますが、マンションの価値が落ちるといつかマンションに入ってくる人がいなくなります。

何だかトランプのババ抜きに似ていますね。

そして、最後にババを引いてしまった人は売ることも建替えることもできず、何も身動きがとれなくなってしまいます。

簡単に言うと、よほど条件の良いマンション以外、同じマンションに長く住めば住むほどリスクが高くなっていくんですね。

マンションか戸建てか

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先日、東洋経済に興味深い記事が載っていました。

以下は一部の引用です。

このように、現状の新築マンションは無理に無理を重ねているため、品質に問題がある可能性が少なくない。もはや誰もコントロールできない領域にある。その意味では、戸建ての注文住宅の方が品質は確保されるのではないだろうか。個人の仕事である戸建ては、品質がコントロールしやすく、細かい調整も可能だ。コストがかさみそうなら、仕様を変更したり、サイズダウンするといった具合に、クオリティを担保するためのフレキシブルな判断ができるからだ。

ただし、戸建ては戸建てでも、建売住宅はマンションと同じ問題をはらんでいるといえよう。下手をすると品質はマンション以下になるケースも少なくない。マンションであればある一定レベルのグレードが備わっているが、建売にはそれがない。現在の状況下におけるベターな選択は第一に注文住宅。新築マンションや建売住宅は自己責任の上で購入するしかないと考えた方がよいだろう。

あらかじめ断っておきますが、私は家の建築士をしていますが、眺めの良いところであったりコンクリートの質感は好きなのでマンションも結構好きです。リノベーション物件なんかは面白いですよね。

このように私はマンションは好きですが、新築マンションのとにかく売ってしまえばいいという姿勢は大嫌いです。

お客さんをそっちのけで商売している感じがプンプンするんですよね。

さらに、今回の事件で三井不動産レジデンシャルと言うマンション業界最大手のマンションでも、品質に関してのチェックや責任のたらい回しが明確になりました。

家のことを考えるなら、やはり実力のある地場の工務店で家を建てるのが一番であることを再確認した今日この頃です。

建売住宅とマンションが近いと言う話は妙に納得。

やはり住む場所を作るというのは、売主と施主さんお互いの顔が見えるのが重要だと私は思います。

では。

 

家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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