こんにちは、建築士として国立競技場の建替え問題が気になったO型建築士です。
ここ連日、国立競技場の建替え騒動がニュースを賑わしていますね。
国立競技場の建替えの見積もりが想定していた金額と全然合わないとか。でも、2019年のラグビーのワールドカップには間に合わせないといけないので、とりあえずゼネコンと工事の契約をして修正しながら国立競技場をつくっていくそうです。
その額、2,520億円。
この国立競技場の建替え騒動のニュース。金額もスケールも大きすぎるのでどこか他人事のように聞こえてきますが、家の建築工事に置き換えると、とんでもない事をしているのが分かります。
今回は家づくりの視点から、新国立競技場問題を見てみます。それではどうぞ。
新国立競技場を家に置き換えてみる
まずは、新国立競技場を家に置き換えてみる事にします。
金額の単位も億だと現実感がないので、万の単位に変えるとあらビックリ。家づくりと似たような金額に変わります。
2,520万円の家です。
それでは、騒動の最初から家に置き換えて見てみましょう。
今回はこのお二人に登場してもらいます。
田中さん:家づくりをはじめたばかり。今回は家の建築主として国民の皆さんの代表になってもらいます。
駄目本さん:ダメな住宅営業マン。今回は文部科学省やらJSCやら国立競技場関係者の役をやってもらいます。ごめんよ、駄目本さん。
数週間後・・
こうして田中さんは、1,300万円だと言う家を建てる予定にしました。
ところが・・。
1,300万で建てられそうと言われてた家が、3,000万円もする事が判明しました。2倍以上の値上がりです。
しばらく後・・
(実際には、この500億円は東京都の負担となりそうです。)
喜瀬川さん:なぜか建築に詳しい人。田中さんの師匠的存在。
その金額は高すぎるわね。どうしてそんなに金額が上がってしまうのよ?第一、寄付でそんな金額集まる訳ないじゃないの。
例えば寄付で200億円集めようと思えば、1人1万円だとしても200万人必要です。どれだけ集めるつもりなんでしょうか?
新国立競技場にはキールアーチを2本使用します。
キールアーチとはこの部分です。
Photo:http://www.tokyo-np.co.jp
キールアーチ1本は、東京スカイツリーを半分に切った大きさと同じ規模だとか。
スポーツをする競技場をつくるのに、東京スカイツリーと同じ規模の構造物が必要なんでしょうか?
どんな種目するねん!と大阪からツッコミが入りそうです。
キールアーチはいくらなのよ。
2,500万円の家のうち、家の本体が1,000万円で半分以上の1,500万円を外観のアクセントのために使う人っているのでしょうか?
使ってもせいぜい数百万円くらいです。異状ですね。
新国立競技場の1番の問題とは
家であれば「家を建てて楽しい生活を送りたい」という建主さんの思いを元に、住宅会社や職人さんが集まり家を造っていきます。家づくりを主導する人がいる訳です。
ですが、今回の新国立競技場問題では主導する人が見当たりません。責任者がいないのです。
オリンピックがある事が決まっているからとりあえず造る。
「まぁ、なんとかなるやろ。どうせ税金を使えばええんやし。」
そんな臭いがプンプンしてきます。
果たして新国立競技場を心からつくりたい人がいるのでしょうか?(お金や利権が絡む人は除きますよ。)
図面を引く設計者や現場監督などの関係者は、虚しさでいっぱいの事だと思います。人は誰かの役に立つために働きたいのですから。
まとめ
新国立競技場問題、いかがだったでしょうか。
何が問題になっているかを身近な家に置き換えてみると、話がどれだけ異状なのかが見えてきます。
次回は、この新国立競技場問題を教訓に、家づくりに反映できる事をお伝えしたいと思います。
では。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
新国立競技場の問題って何?
- 大して重要でない場所に、桁違いのお金をかけている。
- 工期を理由に、無駄な計画を押し通している。
- 責任者や各部門への調整役の欠如。
- お金をかけて、関係者が一番楽な方向へ話を進めている。